母と行った九州・阿蘇周辺はとても魅力的な
ところであった。

また行かなくちゃ!


というわけで再度小国に行くつもりの私は、
お嬢2を誘ってみた。

「えっ!九州?! 行きたい!
 大宰府天満宮にも行きたい!」


彼女は前回冬の越前ガニを食べ損ねたので
ある。

だから彼女のために、とびっきり美味しい
ものを食べさせてくれる温泉宿にしなくっちゃ
ね〜!


九州・小国。

前回母と旅行するために調べていて気づいたことがある。

黒川温泉周辺に新しくできた宿は、「じゃらん」などで見てみるとおかしな表記をしている
ところが何軒かある。

<連泊できません>

ん? なにこれ? 電話、電話!

宿の人の声が小さいの。

「連泊お受けしないこともないんですが、
 土曜以外は。
ですが… 連泊されても…
 お食事は変わりません… 」

 「ええっ?? 全然変わらないんですか?」

「はい… 」

 「はあ。それで、バス停からの送迎は?」

「…… 送迎はしておりません」


声がますます小さくなった。

 「では、どうやって宿まで行くのでしょうか?」

「黒川温泉のタクシーにお乗りになってください、10分ほどで着きます」

 「ということは、帰りもタクシーを呼んで
  バス停まで行くということ?」

「あ、もちろん宿で呼びます」


いやいや、そういう問題じゃなくて〜。


黒川温泉ブームにあやかり、気がつけば
この辺は安い広大な土地があり、いい風景と
豊富な温泉があることに気づいたことで、
何軒かの日帰り入浴施設ができ、料金も
手ごろ、料理もおいしく、車で来られる人たちの評判を呼び、酒を飲めば車で帰れなくなるから「泊まれないの?」。

“日帰り入浴施設・宿泊可”にすればよかったものを、ではいっそ旅館にするか、ということに
相成ったのではなかろうか。
 

電話したこの宿も以前は日帰り入浴施設だったようである。

前回母と泊まったこの周辺の宿は、泊まった部屋のトイレに<アイアイガサ&ハートマーク>が落書きされていて驚いた。

旅館になっても宿の感覚は日帰り入浴施設であるから、旅館だと思ってやってきた旅人から厳しいお叱りを受けることがあるらしい。

「この宿は、宿泊客を何だと思っているんだ!!」

…… どうやらその結果、宿によっては「日帰り入浴はやめました」との表記があったりする。

かつては車で来て翌朝もさっさと車で帰る九州・近隣の人たちのみが客だった施設、温泉宿の自覚もないまま「旅館」の看板を掲げてしまったこのへんの宿は、日本全国からやってくる旅人たちを相手に、今後どうなっていくので
あろうか。

なかなか興味深いところではある。


いい日帰り入浴施設は一日でできるが、いい旅館は一朝一夕にはできない。


もちろん今回は日帰り入浴施設感覚ではない、しっかりしたポリシーのお宿、
連泊してもお食事が変わり、お風呂も全部貸し切り、バス停からの送迎も
あり、そしてとびきりおいしいと評判の鶏肉が食べられるお宿である。

 

 

2008年5月11(日)・12(月)日

九州・小国 山川温泉 小杉庵

2人泊 @14850円

http://www.kosugian.com/

 

 

 

羽田は小雨だったが、もっちろん福岡は晴れてるわよ〜。


 

福岡空港から杖立行きのバスで90分ほど。

 

「じゃらん」から予約。打てば響くようにメールを返してくれる宿もあるが、
何の音沙汰もない宿もある。

メールが得意な若女将もいれば、苦手な年配の女将さんもいる。

ので、私は全然気にしない。

電話がかかってくる宿もあれば音沙汰ない宿もある。

電話が苦手な女将さんやご主人の宿もあるので、これまた私は全然気にしない。


終点の杖立温泉。

 

ネットで予約しても、私は宿に必ず電話する。

この宿はメールも電話もなかったが、電話してみると素朴な感じの
女将さんの声、杖立からまたバスに乗って最寄りのバス停からの送迎でなく、
車で30分以上かかる杖立まで迎えにきてくださるとのこと。

 

湯煙立ち上る杖立温泉。湯煙にうっとり。

 

ジャンパー姿のご主人が車で迎えに来てくださった。

小杉庵、入口。

 

広い敷地の、川に向かってなだらかな傾斜地に建つ母屋。

 


 

到着!





暖簾が風に



優しく揺れた。

 


 

 


 

 

黄粉がまぶしてある、温かで中に餡が入った素朴な和菓子。

女将さんの手造り。 フロント前のテーブルで。

 

本日、1階端の和室。 斜面に建っているので階段を降りると1階になる。

 

なにか、ほ〜っとするお部屋。

 

 

珍しい造りになっていてお部屋に土間があり、ここから庭を通ってお風呂に行ける。

 

 

 

 

 

 

 


 


 


 

 

 

 

 

岩の湯。


 

たいへんいいのは、どの風呂場も天井が高く
湯気抜きがあり換気扇がないこと。

 

貸し切りなのでお嬢と2人、気がねなく気持よく、まったり〜〜。


 

お湯の落ちる音だけ。 やっぱりこれはすごくいい。


 

窓の外の緑がとてもきれい。


 

痛いほどの日差しの夕日。

 

足湯。

 

夕食はフロントの裏側にあたる食事処で。 6時から。 まだ日は高い。

 

本日鶏料理三昧。

 

 

 

 


 

 


 

こんがり焼けた骨付きモモ肉。


シャモと地鳥のかけ合わせ、もともとは宿の御親戚の鶏料理の店が
長年の努力の末につくった鶏だそうである。

焼きたてのジュウジュウ音がしているのを運んでくれる。

 

おばあちゃんの仲居さんが、料理バサミでパチンパチンとひと口大に切ってくれる。

 

お味噌をつけてどうぞ、と言われたが味噌はいらない。

 

熱々を口に運ぶと、弾力があって何ともいえずこうばしい皮の旨みにまず驚く。


その肉のほどよい硬さから明らかにそれが筋肉と分かり、そして最近まで生きていた
動物であり、心臓が脈打ち呼吸し、大地を蹴って歩き啼き、その生き物がいま焼かれて
食卓の上にあり私の口の中にある、ということが、畏敬の念とともに、一瞬私の血を
たぎらせる。


そして同時に噛みしめている肉が、これまたなんと旨いこと……!!


どこか深いところからある感情が、この肉の前に深くこうべをたれるような感情が、
押し寄せてわき上がってくる。

この命の恩恵をいただく感謝であろうか。

スーパーで買う白い発泡スチロールの皿に載った鳥肉を料理しても、絶対に
よぎらないもの。


噛むほどに…… 

やがて頭の中は うまっ!うまっ!うまっ!うまっ!うまっ! 
で埋め尽くされ……

無言のお嬢は、と見れば、彼女も目がとろりんなのであった。



これはですね〜 入れ歯にならないうちに、食べといたほうがいいですよ〜。

 

モモ焼きでお嬢も私もクライマックスを迎えてしまったので、次に鳥鍋が
出てきたときはのけぞりましたです。

お品書きがないので何が出てくるかわからず、調整ができなかったのでした。

しかし、果敢に鍋にもいどみ……

 

鳥雑炊に至る。

 

デザートは別腹になんとか収めましたけどね、歩いて部屋に帰るのが
大変でした!

 


 


 

朝ご飯。おなかいっぱい。


 

 

 

 

 

 

 


 

朝食後、タオルを首から下げブラシを持ったご主人が4カ所の風呂のお湯を
順番に抜いてお風呂掃除をしているところに、
「昨日入れなかったせせらぎの湯に入りたいので、あそこのお掃除を
 一番先にしてください」と頼みにいった。

女将さんもご主人も、近所のおじさんおばさんの雰囲気でぜんぜん気取って
いないのである。

まだお湯を抜いていない「岩の湯」に。

 

昨日迎えの車の中でご主人に
「宿のすぐそばに北里の生家があるんですね」と言ったら

「見てみますか?」と、車を回して記念館の建物を見せてくれた。

「この辺はほかに観光するものがなくてね。 明日、車でもう一度来てみますか?」

 

ネットでこの辺を調べていたらすぐそばに北里柴三郎の生家があるのであった。

いまでこそ飛行機で東京から半日で来られるが、実際にここに来て感じるのは
「九州のド真ん中は遠い!」。

べつに北里柴三郎に興味があるわけではないのだが、山深いこの地から熊本の
大学を経て首都の大学に行き、その後のドイツ留学を想像すると、私だったら
遠すぎるからいや!なのである。

その志の高さ、それを支えたであろう実家の莫大な財力。

持てる者が、持たざる者のためになすべきことがある、と明治の人は考えたのだ。

私たちはその志の恩恵を受けているのである。

ノーベル賞の選考ではかなりの支持があったのに、黄色人種ゆえに賞から
はずされた、と聞く。

 

昨夜おなかいっぱいで部屋に帰ったら、
「明日、車を使いますか?(出かけるなら、車で回りますよ)」という
電話をフロントからもらったのである。

田舎の人たちは観光の心配をしてくださる。

食っちゃ寝て温泉、の私たちはありがたくお断りをした。

 

そして宿のご主人に、掃除する風呂の順番の指示なんかしちゃうのである。


 

もうひとつの川のそばの露天。

 

川の堰がすぐ前にあって音がかなりうるさい。

 


 

お掃除が済んだ「せせらぎの湯」

 

 


 


 

 

もう1カ所の木造りのお風呂。


 

本日の夕食、ブタ責め。

 

もとい!! 小国・黒豚三昧。

 

これは馬刺し。 たてがみも(白い脂身のようなものが、たてがみの下のお肉)。

 

 


 


 


 

 


 


 


 

スペアリブのソース煮込み。 柔らか、やや甘めのソースでおいしい。


 

豚鍋の前に、甘みがあってぷるるん、大豆の香りが豊かなお豆腐。
とてもとてもおいしかった。

このあとお肉&野菜の鍋。

 

本日コントロールして無事デザートに。

 

朝風呂はいいよね〜〜。 ホント!!

 

 

朝ご飯。おなかいっぱい。


 

 


 

 

コーヒーはフロント前のテーブルでいただいた。

 

次回は鳥責め2連泊もいいな!


杖立まで車で送ってもらう。

 

緑深く湯煙たなびき、ここもいつかは泊まってみたい所である。


 

お嬢の来たかった太宰府天満宮。


なぜに大宰府?

「だって、日本人ならやっぱり行っておいたほうがいいでしょ?」

そうなの?

彼女の中には三大元締め神様がいて、それは伊勢神宮、出雲大社、
太宰府天満宮なんですって!

伊勢と出雲は行ったから、残りの大宰府に行きたいんだそうな。

 


 


 

最近台湾からの観光客がとても多いらしい。
トイレのプレートにびっくり。

男性のほうは見なかったけど「愚男」とかだったらおもしろいかも〜。

 

天満宮、茅葺の美しい屋根。 裏側。

 

梅は茂りすぎて梅と分からず通り過ぎてしまった。

売店で聞いて引き返す。

 

中学生の団体を避けて参道脇の道に入ると、あちこちにびっくりするほど
たくさんのクスの大木があり、梢が気持ちよく風にそよいでいた。

 

そして天然記念物の大クスノキがあって驚いた。

樹齢1000〜1500年だという。


数十メートルに及ぶその高さを見上げると、そのはるかかなた頭上に若い葉が風に鳴っている。

 

いま私が立っている地面の下でこの瞬間、この木の根は水を吸い上げ、
その水は幹を昇り、あの梢の先端の若葉に送られているのだ。

一瞬自分がその若葉の一葉となり、はるか下、小さな人間たちが
見上げている姿を眺めながら風に揺れていた。

なんだかとても不思議な幸福な気分でいっぱいになった。

この木の下を菅公が鬱々と通りお伴もまた涙しながら通り、
子供たちはこの木に登って遊び恋人がここで待ち合わせをし、
旅人が木陰で涼をとり鳥が留まり、幸せな人も不幸な人も春を迎え
夏になり葉が茂り、冬が来て、そして再び新芽が伸び……

1000年の時を経てまた遥かに時がたち、やがてこのクスノキが
その長い一生を終えるときに、どれほど多くの人間たちが
見上げていたかを思い出すことだろう。

短いひと時ではあるが、この木が生きている時間を共に生き、
この木の記憶の中にあるあまたの芥子粒のような人間の一人に
なれたことが、私はなんだか無性に嬉しかった。

 

天神様にしっかり丁寧にご挨拶、お祈りし、元締め巡り完了のお嬢、
その後土産もいろいろ買い込みいたく満足そうであった。

 


 


 

今回はお土産充実。

白魚入り辛子めんたい、梅が枝餅、鬼瓦もなか、あまおうのクリームチーズケーキ、
八女茶入りラングドシャ、レーズンサブレ。

上出来!!

 

特に季節限定の白魚入りめんたい、スパゲティにあえるとちょーうま〜!!

 

しばらくゴロゴロころがして猫がオモチャにしていた香川・高松産の<ニッキ水> 。

杖立バス停前のお土産屋で120円。大宰府のお土産屋では140円。


ひょうたん型の可愛いガラス瓶に惹かれて。

 

 

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