2007年7月20(金)日

のんびり小町パック 新幹線グリーン車込み 2人泊 @38000円

岩手・つなぎ温泉 四季亭

http://www.shikitei.jp/


 

のんびり小町のお出かけポイントが45000ポイント貯まったので、母を連れて行きたいんだけど… もうあんまり行きたい宿がパンフレットに載ってない。
どこにしようかな〜 夏だし…

このさい露天はあきらめて、お食事重視で岩手に行くか!

 

「お母さん、夏の岩手は “賢治ワールド” じゃなくて “アブワールド” だからね、露天は入らないほうがいいかもよ…」

「あら、もちろんいいわよ〜。 内湯に2回入って、おいしいお食事だったら
十分よ〜! 文句言わない!」

上野駅新幹線乗り場に、やっとこさ煙出し部屋ができたの。
これでモクモクしてから乗れる〜。

 

盛岡駅からバスに乗り、御所湖に向かう。
国道沿いの店は見慣れたものばかり…

この景色、足立区を走っているのか、はたまた埼玉か栃木か、皆目
分からない。

 

いまや日本全国同一風景となる。


 

御所湖でバスを降り宿に電話すると、あっという間にお迎えの車が来て2〜3分で宿に。


 

庭の見えるロビーラウンジ。


 

仲居さんが荷物をもってくださり、今回3階のエレベーター前のお部屋。


 

部屋入り口。 右手に洗面、トイレ、バスルーム、冷蔵庫。


 

ガラス戸が大きく取られた10畳和室。

仲居さんは若いお嬢さんで、きちんと目を合わせてから畳に両手をついて
挨拶ののち、部屋の備品、お風呂場の位置、避難経路、食事の時間などを
丁寧に説明してくださった。

「ど〜も〜 ではごゆっくり〜〜」ではなく
「ありがとうございます。ではごゆっくりお過ごしください。」というきちんとした
言葉の語尾がいかに大事か、言葉の最後の “ 。” にはどんな気持ちを
込めるかを、女将さんが教えていらっしゃることが伺えた。

 

広々と外が見える。
本日時々かすかな雨で、気温も低く、しっとりと緑が美しい。

 

下は道路だけれどすぐそばに山が迫り霧がたなびき、時々ヒグラシが
カナカナカナ… と。

 


 


 

テーブル脇のポットのほかに、テレビの下にも電気ポットが。
クローゼットの中にバスタオル、浴衣、色帯、羽織など。

 


 


 

洗面所にある冷蔵庫、洗面台脇にあるアメニティ。


 


 


 

トイレ、バスルーム。

 

3階にある女湯。近いのでおっくうでない。

入り口前に牛乳の自販機。

 

入ってすぐ、スリッパの殺菌ボックス。

 

花が飾られた、明るい脱衣所。

 

バスタオル、使い放題。

 

とても綺麗な洗面台。

 

風呂入り口。

あ、あれは何?

 

「アブだよ〜〜 やっぱり… お母さん」

「あらま! 内湯だけにしておこうね」

殺虫剤、ムヒ軟膏、綿棒にカット綿まで備えてあった。

 

入った瞬間、ほわっと硫黄のかすかなにおい。すぐ慣れてしまって感じなくなる。

広々した洗い場。

 

中庭に面した内湯なので、眺望はない。

ん? あれは何?

 

あの露天、何??

 

ええ〜!!

もしかしてこれは〜〜!!

 

蚊帳?!

「お母さん、蚊帳吊ってあるからこれなら大丈夫ね〜」
「ほんとね!」

 

アブはおろか虫1匹入らないように、一分の隙もなく地面に垂らし、
天然の麻の蚊帳は白く美しく、この宿は緑を犠牲にして客がアブに
刺されない方法を選んだのである。

白い蚊帳はその白さが身上。

それを汚れなくひと夏保つのは、どれほどの手間と労力がかかることか。

 

夕暮れ時はヒグラシが山のあちこちで鳴いている。
気温が下がってきて、クーラーは止めてしまった。

 

そして楽しみなお食事〜〜!

 

夏の清々しいお膳である。

 

岩手鴨ロース、鰻巻き玉子、鮭小袖寿司、枝豆。

 

マンボウの酢味噌あえ。
岩手ではマンボウを食べる、というのはテレビで見たことがあったが、
食べるのは母も私も初めて。

マンボウという魚のイメージと違ってコリコリした歯ざわり、
食べたことのない食感でおいしい。
「この黄色いのはなんですか?」
「それはマンボウの卵巣の部分です」
ふ〜ん… この部分は少し柔らか、酢味噌ともよく合う。

 

モズクの酢の物。お酢が控えめ、さっぱりと、食欲をそそられる。

 


 


 

食前酒は柚子のお酒。
その後のんびり小町パックサービスの「吟ぎんが」という冷酒。

 

お造りはこんなふうに出てきた。ドキドキ〜

ほおずきの描かれた和紙を取ると…

 

うまそー!!  ちょーうまそー!!

ヒラメ青菜巻き、マグロ、紋甲イカ。

 


 


 

この、お造りに添えられて時々見かけるもの…
「これ、何ですか?」

べつに仲居さんを試しているのではない、思わずこの言葉が出てしまうのである。

「それは、ズイキの茎です」

即座に答えが返ってきた。
本日のお料理、お造りのツマの素材に至るまで、じかに板さんから聞いて
頭の中に入っているのであろう。

中トロマグロは、口の中であっという間にとろけてしまった…

 

母は「ご飯が食べられなくなるから、お肉はいいわ…」

 

黒毛和牛、あまく柔らかく香りよく、ゴマだれとすっごく合って、私は叫ぶ〜!

「おいしいよ〜 お母さん、少し食べてみたら」
「え? じゃあひと口いただこうかしら」

そして、ふと見れば母は全部平らげていた。

 

洋皿は魚介のチーズ焼き。射込み長唐辛子添え。

 

帆立、朱利貝、三島オコゼ、海老がコロコロ。
キッシュのような温かい生地の中に。

 


 


 

茶碗蒸しのような豆乳豆腐。生湯葉、蒸しウニのせ、べっ甲餡かけ。

 

冷やし煮物。
ガラスの器もキンキンに冷やされ、目も、蓋をとる指も、ひんやり。

鰊旨煮、海老、丸十芋甘煮、独活含め煮、冬瓜含め煮など。

 

満足満足〜! ご飯はおなかに入るんでしょうか… 心配。

 

入れたわよ〜。 母も私も頑張りました!

ホッキ貝そぼろののったおいしいご飯。ジュンサイのお味噌汁。

 


 


 

デザートだって無理やり入れちゃうもんね〜 おなかパンパンだけど。

白玉ぜんざい、バニラアイスクリーム。とっても元気のいいミントの葉添え。

阿部料理長、ご馳走さまでした〜〜

 

岩手ですからね!銀河高原ビール飲まないとね!

 

朝5時すぎに1人で誰もいないお風呂に。

 

蚊帳風呂に入っていたら、目の前の木々から突然
「カナカナ… カナカナカナ…」
とヒグラシが鳴き出し、しばらくするとあっちでもこっちでも。

それがにわかに至近距離で降るような蝉時雨となり…

 

白い蚊帳風呂、うっすら外は緑、割れんばかりのヒグラシの声。
私はお湯でユラユラ。

オツであった。

 

いい塩梅に今日も曇っていて涼しい。

 

朝食。 献立表も付く。

 


 


 

軟らかな岩手のレタス、生ハム。 ほうれん草のお浸し。

 

小岩井牛乳。

 

温泉玉子。

 

こんがり焼けたハタハタ。

秋田のハタハタは、かつて多分乱獲がたたって、不漁になったことがある。
うっかりするとこのちっちゃな魚が料亭でしかお目にかかれないような事態に
なったらしい。

料亭で出るならまだしも、料亭にすら出せないほど漁獲量が減ってしまった。

お名前は忘れたが、その時の漁業組合長さんは、私の曖昧な記憶によると、
苦渋の末3年間のハタハタ禁漁という決断をされたのである。

海の男たちが船に乗らず陸に上がって3年耐え忍ぶのである。
その家族たちも3年間共に耐えるのである。

組合長の肩には、そのときどれほどの人たちの生活の重さがのしかかったで
あろうか。
海の資源を守るためその資源を子孫に引き継ぐためとはいえ、多くの
漁師たちが組合長を信じ断腸の思いで決断に同意したのは、この組合長が
人望ある人であり、その命がけの志を感じたゆえであろう。

3年経って…

期待に胸を膨らませ船の上から海の男たちが目にしたものは、豊かな魚影だった。
3年ぶりの大漁旗は、いつにも増して秋田の海に美しくはためいたに違いない。


そして本日岩手で、私は香ばしい焼きたてのハタハタを食べられるのだ。

 


 


 

小鍋には薄味のいいおだしで、軟らかな里芋、つくね、ブロッコリー、がんもどき、ニンジン。

 

お米は岩手のおいしいひとめぼれ、お味噌汁は小川原湖のシジミ。

 

ヨーグルトとゼリーとフルーツのデザート。

 

チェックアウトは11時なので、またお風呂。

 

お風呂は、夜以外ぜんぜん人に合わず、貸切状態。

 


 


 

チェックアウト、部屋の目の前のエレベーターを待っていると、ずっとむこう、廊下の端で
朝食の片づけをしていた仲居さんが、会釈しながら駆け寄ってきた。
「フロントまで、お荷物をお持ちいたします」

硬さが残りややぎこちなくはあるが、この若いお嬢さんの自発を促すような、
接客とはどういうものかを女将さんはマニュアルでなく心で教え、若い仲居さんは
心で受け止めているのであろう。

宿全体のスタッフの印象がそうであった。

 

送りの車に乗り込むとき、女将さんと仲居さんが並んで見送ってくださった。

「仲居さんがこまやかに気遣ってくださり、とても気持ちよく過ごせました」と
女将さんに言うと
「そんなお言葉が私たちにとっていちばん嬉しいことです」と笑顔で仲居さんを振り返り

「○○ちゃん、良かったね!」


恥じらいを含んでたたずむ乙女の姿を見たのは、久しぶりのことであった。