土曜の箱根価格オーベルジュ  まるみのお食事評論

 

10部屋の宿で半分が洋室。これは当然お食事はダイニング。
和室はお部屋食も選べ、メニューの違いかやや料金が安い。
こちらはもちろん浴衣で足を伸ばしててもOK。

3部屋に部屋食が運ばれていった。

ダイニングは浴衣不可である。

 

 

6時から。
男性上着着用とかそこまではいってないが、みなさんきちんと服を着て靴も履いて着席。

周りはマダム、もしくはマダムもどき多し。

 

 

 メニュー。 楽しみ楽しみ〜!

下戸のお嬢、本日きばって少々飲むという。
<マム社>のハーフとかないかな? リストを見る。ない。
5000円ほどのスパークリングワインのハーフボトルをお願いする。

お味は値段相応。とびきりじゃないがおいしい。
だけど私は、別にシャンパンじゃなくてもカヴァでもスプマンテでもいいんだけど、もうちっと泡の細かい舌先にピッと「泡頼んじゃったもんね〜」という感じが走るのが好きかも。

まあ「君の瞳に乾杯!」とか言ってくれる人がいるわけでもなし、
背伸びしたお嬢と飲むのにはこのへんが適当かもしれないわね。

カトラリーはなし。スープスプーンとお箸のみ。

 

 

アミューズ。
生湯葉と豆乳のミルフィーユ 百合根のサフラン風味。

えーっと、どうということはない。
生湯葉も豆乳もあまり味がなく、百合根もやや固めの百合根の味。
アミューズのトキメキはほとんどないな〜。量も少ないし。

 

 

世界三大珍味のオードブル イチゴのビネグレット。

その昔ちょっと気の利いた男が待ち合わせに有楽町・帝国ホテルのバーを指定してきた。
でもってそこでキャビアを頼んでくれて、やってきたのを見ると、私が知っている黒い小さな粒々ではなくグレーのやや大きな粒で、これがめっぽううまくて、今まで食べたのはなんだったんだー!という味だった。
それとなくメニューを眺めるとリーズナブルな料金だったので、
もう一皿おねだりしてそれは抱え込んで1人で食べてしまった。

そのとき得た知識は、名の通ったホテルのバーは本物をリーズナブルな料金で出すこと、そしてキャビアの色は黒でなくグレー、粒はやや大きめに限る、ということであった。

以来立食パーティーなどでは黒い小粒には目もくれず、遠目でもグレーに輝いているらしきものには突進し、それらはおおむね当たっている。

 

 

向かって右のこの黒の小粒のキャビアはどうかというと、私の得た知識どおりの味であった。

左のトリュフは気前よくスライスしたものでちょっと期待したが、記憶の中にあるみじん切りのトリュフでもこれより香り高いものがあり、期待したほどではなかった。

そして!真ん中のフォアグラはものすごくおいしいかった。
フォアグラはソテーしてあってもくさみがあったり、歯ざわり舌ざわりが気持ち悪かったりとハズレがたいへん多いが、これはレバーの粘り、ねっとり感と、本当によい香りの上質でなめらかな脂肪がとろりと口の中で溶けて広がり、ちょっと至福の心持ちとなった。

次回来た時も三大珍味が出るなら、キャビアとトリュフはいらんから
このフォアグラのてんこ盛りがいいな〜。

 

 

お箸でいただく。

イチゴのビネグレットソース、イチゴの香りが活かされかつ甘みが抑えられ、
付け合わせの野菜類とも合っていて、これはたいへんよろしくってよ。

もうちょっとクリーミーな感じだと、新鮮な野菜類にからんでなおよかった
かも。

 

 

海燕の巣のコンソメスープ。

なんで海燕の巣? 三大珍味の後だから?

しかし、この変な皿は何?! 最近この手のみょーな器が多いわね。

なんとも大仰なスープ皿で出てきて、この食器はちょっと私にはいただけませんわ。
この変なでかい皿に合わせたいかついスープスプーンも、ちょっと気に食いませんことよ。

しっかりとした味のコンソメスープ。
ゼリー状の断片が巣らしい。
初めてのお味。というか小さ過ぎて味がわからん。
まあ「ここで、なぜ、巣?」という疑問はさておき、コンソメは正統なお味でとてもおいしい。
さすが帝国ホテル仕込み、という感じ。
2匙目までは…

3匙目からはやや塩味がまさり、最後はやや塩味が濃いか…という終わり方となる。

 

 

やわらかで温かなパン。自家製らしい。

しかし問題はテーブルに置かれているパック入りソフトバターよ。
これなんとかしてほしいの。
お箸で食べられるカジュアルだから?

ノンノン!!

それとこれとは別問題。コンクールで賞をとったイタリアのバターとまではいかぬまでも、
日本のカルピスバターでいいから、スライスしてお皿の上に置いてくださいね。

 

 

パンは2種類。お替わり自由。焼きたてらしい…
しかしお替わりするほどの味ではなかった。まあふつー。

私の好みから言えば、このように押すとつぶれるような空気パンよりも、
しっかり密な小麦の味わいと、カリッと焼けた皮の歯ざわりが感じられるものが好き。

 

 

甘鯛と帆立貝柱のムニエル 桜風味の白ワインソース 桜花添え。

甘鯛、貝柱とも、ほんのり香るソースにからめておいしくいただいた。

しかし…甘鯛は冬がいいよね〜
えーっと個人的には〜 甘鯛よりこの時季真鯛が好き。

 

 

自家製の桜の塩漬けを素揚げにしたらしい。
大部分八重桜だが、お嬢の皿には一重のピンクの濃い山桜が入っていて、どんなお味か興味津々。

口に入れると、ある意味、見た目どおり。
花に味はなくフワフワシャワシャワ〜っとして、軸がやや硬く、そこは塩味。

春のお皿の彩りよね。楽しめます。

 

 

お口直しは、白桃の冷製スープ。

桃の香りを期待したが香りはまだなくて、さっぱりとした桃の味は楽しめたが、やはり桃は初夏の味わい、仙石原では桜もつぼみのこの時季、ちと早いのではなかろうか。

 

 

上州牛ヒレ肉のロースト ソースペリグー。

お肉やわらかでおいしい。肉の味は特徴なし。
甘口濃い目のソースなので、付け合わせの野菜やその下のパテが薄味なのだろうが、添えられた脇役の、形だけでなく味にももう少し光を当ててやってもいいと思う。

 

 

量的には私たちには充分だった。

番頭さんやらイケメンタイプは、お肉あと2皿くれ〜とかパンあと3個くれ〜とか言いそう。

そんなにお肉好きでない私の中で牛肉の最近のヒットは
岩手の「志だて」で出された “胡四 牛王” というブランドである。
お肉の味にかけては米沢牛、お肉から感じる脂の旨さは前沢牛、と思っていたら、この岩手の牛肉もすっごくおいしかった。

鉄板で焼き、味付けはシンプルな塩、コショウ。すりおろした山葵をつけてという料理であったが、お肉の味のその繊維の隅々にまでおいしさが詰まっていてジューシー、動物性タンパク質の洗練の極みの味に感動。

この岩手牛、うまかったよ〜〜!

 

 

デザート。
3種類のケーキとソース。

「ケーキの前のそれぞれのソースを付けてどうぞ」と。

う〜ん…

まずいってんじゃないのよ。
でもね、皿の上のこの四角い3個のケーキ、どっちかっていうと紅茶でアフタヌーンティーっていう感じでしょ?
ディナーの後のデザートには、この中の1個でいいんじゃないかしら。

その1個に、ソースにも使われた香りのいいイチゴで作ったムース、それにフルーツを添えるとか、もしくはアイスクリームにフルーツとか…

 

 

だからね、おなかいっぱいのうえに口の中モサモサしてね…

いっそケーキやめて、たとえば箱根・湯河原近辺でとれた香りのいい柑橘類のジェラートに。
そしてコーヒーに小さな焼き菓子とチョコレートなんかを付けるほうが気が利いてない?

そしたらチョコレートかじりながら、ブランデーほんの少しいただこうかしら、
とか思うじゃん。

 

あ〜 しかしそこそこおいしかったわ〜 おなかいっぱい!

スパークリングワインも飲みきって、お嬢ともども満足満足。

最近フルートタイプのシャンパングラスがはやりだけど…
これ、飲みにくいのよ。グラスの形は美しいけどね〜

量が少なくなったのを飲もうとすると、高くもない鼻に必ず触れるの。
この所作はすごく抵抗がある、私には。
ぶつからないようにクッとあおると
「あ〜 酒かっくらってら〜!」みたいな感じになるし…

1杯だけならともかく、ハーフとはいえボトルで頼んでいるんだから、鼻にぶつけながら1杯目が空いた時点で普通のシャンパングラスに替えてほしいな、
という気持ちはあったのよね。

こんなときに「グラス、お取り替えいたしましょうか?」と耳元でスマートに囁いてくれたらね〜。

まあしかしそこまで要求はしませんよ、そんなそつのないウエイターだったら人に使われてなんかいませんでしょ。
鼻ぶつけながら、お嬢と飲みましたわ。

 

コーヒー。
お味は私の基準まあまあクリア。

カップ&ソーサーの形はぜーんぜん好きじゃない。

お酒やワイン、コーヒー、紅茶も、もちろんそれだけではないが、直接口に
触れる器によってずいぶん味わいが変わる。

繊細な大吟醸をゴツゴツしたぐい飲みで出されてもおいしくない。
やはり唇に触れたガラスや陶器の薄さとかろやかさがあってこそ、磨きぬかれた味わいが伝わってくる。
朝、自宅であわただしく肉厚のマグでコーヒーを流し込んで飛び出す私だけれど、たまにおいしいケーキなぞ貰った日曜の朝は、いつものコーヒーを丁寧に淹れて、食器棚から1930年代のパラゴン窯のコーヒーカップを引っ張り出し、コーヒーをそそぎ、小ぶりで華奢なカップの口当たりとそのこまやかな模様を楽しむ。
コーヒーもすごくおいしいと思う。気のせいか。

 

 

 

 

<朝食 ダイニングにて 8時から>

 

 

昨夜の暴風雨もあがって、空が明るくなってきた。

ピアノ塗りのテーブルに、ブルーのグラスが美しく映える。
しかしリネンで磨かれたらしいグラスに、布の繊維の白いケバが残ってる…

で、水の入ったこのグラスには手をつけず。
昨日の夜もそうだったんだろうか。うーん、暗くて見えなかったけど。

 

 

昨夜と同じく、スープスプーンとお箸。
さあ、何が出てくるんでしょうね〜

 

 

サラダが出てきた。
生ハムも付いてる〜!

 

 

ドレッシングをかけていただく。パンはまだこない。

小鳥のように野菜をついばむも、パン、なかなかこない。
野菜でだんだんおなかがいっぱいになってきました。

野菜おいしい。生ハムもいける。
だけどこれ、前菜? せっせとついばむ。

 

 

やっときた〜!

え?フォカッチャ?!
ま、いいけど、ちょっと奇妙よ。

「オーベルジュ つつじとかえで」の、あの焼きたてのおいしいパン、
簡素だけど清々しい、あの朝のテーブルを思い出す。

なんかそういう思い出って鮮烈。

 

 

またこのコーヒーカップか〜い!!

飲みにくく、美しくない。 この食器を選ぶ基準が分から〜ん!

 

 

えーーー!! なんじゃこりゃー!!

またこの皿か〜い!!

真ん中はグリンピースのスープ。
おいしいけど、昨夜のスープのようにやはり塩味がまさる。
朝は一段とそう感じる。

どこかで、優しい味のグリンピースのスープが出たな〜…
思い出した! 水上山荘だ。
ああ、あれはカプチーノ仕立ての、春の豆の香り豊かなおいしいポタージュだった…

でもってこの巻っき巻きローストビーフも、しょっぱい。

 

 

これ、玉子料理って言えるんだろうか…
スクランブルド、というより日本語の炒り玉子ですね。さめてるし。

基本的に私はシンプルなコンチネンタルスタイルが好きである。

きつね色の熱々トースト、したたる香りの良いバター。マーマレード少々。
やけどしそうなポットで供されるマンデリンのフレンチローストのような苦みのコーヒー、紅茶ならセカンドフラッシュのダージリンティー。
グラスのフレッシュオレンジジュース。

今はなき逗子のなぎさホテルのルームサービスのそんな朝食に、
バタアド・グリンピース、とかスチュード・トマトなどという、ちょっとアメリカンなものも頼んで、海の見える部屋で食べた思い出が懐かしい。

ここはシェフが昨日頑張りすぎたんで今朝は余力がないっていう朝食でしたね。

もっともおいしい野菜をたくさん食べたから健康にはいいかも。

私はあまり温泉関係雑誌とかテレビとか見ないのでよく知らないのだが、
「朝食のおいしい宿」とかの特集で、貝掛温泉が挙がったことってあるのだろうか?

とってもおいしいご飯と漬物。
筋子や鮭のような海のものも、そして蕗味噌や煮物などの山のものも私にはたいへんおいしかった。
ごく普通、地味で目立たないけど、あそこの朝食は私の中ではかなりポイントが高いのである。

閑話休題。

 

 

そしてデザート。ヨーグルトとフルーツ。

メロン、硬い。
この器も気に食わ〜ん。


でもね、本日湯本でお寿司を食べる予定の私たちには、おなかいっぱいで
かつすぐおなかすきそう、というちょうどいい朝食でしたわ。

 

 

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神奈川近辺にお住まいで交通費が安く、夫婦でたまにはワイン飲みながら
夜はおしゃれなフレンチっぽいのでいきたいって方、気候とお天気の良い
ウイークデー、サービスになっていて安い1万9800円の和室・お部屋食堪能後、おなかすいたら持ち込んだお握りとか小田原の鯵鮨とか食して二人で仲良く露天も付いた貸切風呂でまったり。夜はこれまた箱根の濁り湯、木造り広々内湯の素敵なお風呂三昧。眠くなったら低反発マットレスで心地よくお休みに。朝食は付け足しだと考え足りない分は持ち込みのカレーパンとかカツサンドとかでおなかを満たし、素晴らしい眺めの展望風呂満喫して11時にチェックアウト。仙石原の景色を愛でつつゆるゆる湯本あたりで旨いお寿司とかお蕎麦を堪能したのち干物と饅頭土産に買ってご帰還。

というプランがいいんじゃないかな〜 この宿。