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あっ! 栗だ〜!
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ほこっと柔らかく煮てあり、ほんのり甘い… そして渋皮もおいしくいただける。
電話で予約するときに「あの、お、そそそそばばは…」と思わずどもり、笑われてしまった。
ここはお蕎麦がおいしいといわれている宿なのである。
「大丈夫です、お蕎麦はお出します」
新蕎麦だと思ったら、10月に採れた蕎麦は2〜3カ月寝かせて、12〜1月ごろ一番おいしくなるんだそうで…
秋に東京の蕎麦屋に貼ってある「新蕎麦」のポスター、ありゃいったい何なの〜!!
打ちたて、茹でたてのお蕎麦は腰も粘りもあり、冷たく、歯ざわりよく、たいへんおいしかった。
しかし蕎麦つゆが私には甘すぎ、それが残念であった。
温かな天ぷら。
サツマイモ、紫蘇の実、茗荷、海老、しし唐、蕎麦粉の皮でアスパラを巻いたもの。
天つゆが見たことないほど薄い色であった。
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車で30分で海、日本海の魚のおいしいお刺身。
コンニャクもシコシコ、なかなかいけます。
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シジミかと思うくらい小さなアサリの赤ちゃんのお澄まし。
熱々、いいおだしが出ていて嬉しい。
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「鍋にも蕎麦が入っています」と言われて開けてみると…
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蕎麦粉を薄く伸ばしたもの。
鶏肉、キノコ類が入っていて、おいしいがかなり甘めの味付け。
私には充分すぎる量のおいしいお食事であった。
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お食事のお給仕も、食事の間に布団を敷いてくれるのも、若女将。
1人で切り盛りしているかのようである。
毛布の上に掛け布団…
もちろん夜はしんしんと窓のほうから冷気がくるが…
あまりに重いので掛け布団をはいで寝た。しかしそれでも重かった。
敷布団はかなり薄くちょっとつらかったが、蕎麦殻の低い枕がちょうどよく、なんとかなったかな〜
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ぬるいので子供でも何時間でも入れる。
おしゃべり一家が去ると風呂場には静けさが戻ってきて、夜のしじまの中で時の経つのを忘れた。
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まるで自分自身が指先から染み出し、体から流れ出して、
そしてお湯と同化し…
後に残った私の抜け殻が、脱ぎ捨てたストッキングのように排水口に絡みつき取り残されているような…
錯覚に陥った。
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きれいに掃除された朝の風呂場の乾いた床。
色すでに褪せ淡くにび色に染まり、もはや風景の一部となったプラスチックの桶。
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朝はゆっくりお風呂に入りたいので朝食を断り、お握りを作っておいてもらう。
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「飯? 風呂? どっち?」
と聞かれれば、
迷わず「風呂!風呂〜!!」である。
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ふと気づけば、堆積物の形に合わせ一分の隙もなく張られた板壁。
昨日今日の若造の仕事ではなく、おそらくは腕の確かな棟梁の、このこまやかな仕事ぶり。
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木造りの風呂場は手入れも大変だろうけれど、いい温泉といい風呂場を維持するために、技を惜しまず心を砕く人がこの地にまだ残っていることが伺える。
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