鎌先温泉 四季の宿 みちのく庵

宿のHPなし Tel 0224-26-2111

2006年9月1・2日(金・土)
のんびり小町パック 2人泊 @31100円 延泊@19200円

 

 

「みちのく庵」である…

「みちのく庵」再び、である…


若く可愛く仕事ができ、頑張り屋で気立てもよいお嬢2は、
当ったり前だけどひっぱりだこである。

ひと山終わってみんなが一息つき、充分休養をとっている間も、
休みが取れずレギュラーの仕事にしおしおと入っていき…
くたびれ果てている。

気の毒に…

その間私は連日仕事のミニ打ち上げ、今日はタイ料理、明日は中華、
その先はイタリアン… 
と、途中からは「これ、もしかして打ち上げじゃなくて、おいしいもの食べよう会??」

仕事をしてるお嬢2にバンバンご馳走の写メール送っちゃったりして〜〜
 

 

「あーん… ひどいよ〜 目いっぱいいたぶってくれましたね〜」

「いや〜自分がおいしいもの食べてるときに、仕事してる人間がいると思うとさ〜
ふっふ、嬉しくなっちゃって〜」

「もうホント!いぢめてくれました!」

「わり〜わり〜〜」

「ぜんぜん悪いと思ってないでしょ」

 

そんなことはないよ〜!
だからこそ私は、やっと休みの取れたお嬢2のために「みちのく庵」を予約したのである。

私の中では “癒し系” No.1!
ヨレヨレのときはここに限る!!

 

たいへんラッキーなことに「のんびり小町」では9月の第1週のみ格安になっていて、土曜も同一料金、連泊しても5万円で収まる。

この人がいちばん癒されるのは、まずおいしいお食事!
そのうえお風呂がよく景色もよくて連泊ならば、言うことないではないか〜

 

前夜支度をしているとき…

私は思い立って数種類の薬をバッグに入れた。

 

この年になると、個々の若い子たちがそれぞれ何を考え、どんな行動をし、
たとえば次に何を言うか、そして生活パターンの結果どんな状況になるか、だいたい想像できる…

 

 

 

 

 

お部屋に案内されてすぐに、私はお布団を1組敷いてもらった。

お嬢2は恥ずかしがって遠慮していたけれど、お風呂に入ってすぐに横になれる状態、これはやっぱり癒しの大きな要素である。

 

その人が一番望むことをしてもらえること、これは大事なことではなかろうか?

笑顔ですぐにお布団を敷いてくださった。

 

 

前回のレポートで9部屋のお宿、と書いたが、11部屋のお宿であった。

この部屋の隣は木造りのお風呂が付いているお部屋である。
ガラス戸を開けていると、そのお風呂にお湯を張っている音が聞こえた。

 

 

 

清潔で気持ちよい洗い場、ちょうどよい大きさの眺めのいいお風呂…

お湯は少し熱めで、汗が出てきて長くは入れなかったが、お嬢ともども満喫…

 

 

夜になって少しぬるくなるといいね〜 と言いながら。

 


 

本日のお食事。
まず並べられたお膳は…

強い日差しが傾き、虫の音さやけく空気澄んで、晩夏の夕暮れの色合い。

食前酒はこっくりと濃い目の梅酒。
 

 

小さめのじゅん菜がダシとともにツルリと口に入ると、賽の目に切られたキュウリや山芋の歯ざわりが不意に現れ、コリッと小さな一音。

とても新鮮だった。

 

北海のつぶ貝はからだに似合わず充実した旨みに満ち、菊と春菊のお浸しの中のかすかな苦みは、いちじくのワイン煮のとろりと優しい甘さを引き立たせる。

みずの実のサクサク感は、暑い盛りに育った、その光の余韻を伝えてくれる。

 

黒塗りの口の広いお椀の中に、静かに在るウニ豆腐。

お椀を手に取ると、透けるほど薄い瓜の輪切りがゆっくり、かすかに漂う…

ひと針の、香る柚子…

 

鱸の洗い。

    旨し…

 

縞鯵幽庵焼き。

縞鯵はお刺身しか食べたことがない。

脂がのり、焦げ目香ばしく…
   おいしい焼き物であった…

 

蛸柔らか煮。

蛸は煮過ぎてちぢんだりしておらず、そしてとても柔らかい!

びっくりして仲居さんにお尋ねすると
「大根で叩くんです。それから炭酸で煮るんですって。
蛸の足を俎板に伸ばして、こうやって叩いてますよ」
と、板長の叩く姿を身振り手振りで教えてくれた。

 

「ほんとに柔らかいからぜひ食べてくださいって言うんです、そうじゃないとお年寄りは蛸を見ただけで敬遠されるので…」

入れ歯で蛸、イカは無理なのである。
なんとなく私も分かる年になった…

「久しぶりに蛸が食べられた!って、喜んでくれますよ」

そうだろうな〜 

  嬉しいだろうね、きっと…

 

加茂茄子と海老の揚げ出し。

たっぷりの大根おろしの下、大きなプリッとした海老。

揚げてあるけれど、とてもさっぱりと薄味。

 

冷製の豚しゃぶ。

歯ざわりよい新鮮な野菜、ごまだれ。

お肉好きには物足りないかも。

とてもバランスのとれたお肉の食べ方で、私にはありがたい。

 

 

 

冷たい温麺。

私は、もはや残さず食べることは無理なので少しずついただく。

しかし、香るわさび、喉越しのよさ、思わず知らずツルツルと入ってしまう…

 

ジャコの佃煮、ちょっと甘辛くおいしいご飯とちょうどいい塩梅。

これも思わずどんどん入ってしまい…

おなかが苦しい〜!

 

晩夏の気配から始まったお食事の締めくくりは、実りの秋の色と香り。

 

スパッと切り落とされた葡萄の皮をゆっくりむくと、指先を伝って果汁がしたたり落ちる。

 

夜のお風呂はぬるめでちょうどいい。

夜気で冷えただけでなく「ちょっと熱かった」の何気ない一言で、お湯はただちに温度調整されたのであった。

板長の姿を描写する仲居さんの言葉からも察せられるように、この宿には縦割り・ピラミッド型の役割分担ではない生き生きとしたクロスオーバーがあって、それが私にはとても心地よい。

 

案の定、気が弛んだお嬢は寝る直前に熱を出し、私は持参の葛根湯など飲ませた後、毛布をひっぱり出して羽根布団の上にかけて寝かせたのである。

自分の体が丈夫、と思っている人間は限界が分からないらしい。

おまけに頑張り屋のお嬢はとことん頑張るので…

「昨日寝ていてすっごく熱が出た…」と言いながら朝のお茶をいただくお嬢の顔はかなりヘロヘロ、これはまだ微熱があるな…


 

「調子が悪いときは食べろ!」が家訓の病気知らず一家で育ったため、
この人は「熱が9度前なら何でも普通に食べられる」と豪語する。

ヘロッていても 「うわ! おいしそう!」
 

 

朝から、宝石のように煌くイクラである。

 

こ…これはもしやフカひれ? 

朝からフカひれののった茶碗蒸しである。

中にジャガイモ、柔らかな、キタアカリのようなホクリッとした食感のものがあり、これって何?

百合根だ〜!おいしい!

 

骨まで柔らかな秋刀魚、出し巻きに添えられた大根おろしはすでに味がつけられ…

 

餅入りのおかゆも桜海老も、全部いただきたいけど私はとても無理で…

しかし!熱のあるお嬢は家訓を守り完食である… 

  あっぱれ〜!

 

食後に、今度は熱を下げるため持参のバファリンを飲ませ、
「おいしかった〜 いくらでも寝られる〜 汗かいたから後でお風呂〜 しあわせ〜」
と、つぶやきつつ横になったお嬢をおいて1人お風呂へ。 

 

お布団敷きっぱなし、お掃除
なし。

いいではないか〜

高級湯治システム成立である。

 

本日土曜で満室だそうである。

だから誰もいないお風呂を、今のうちの楽しんでおかねば〜

 

 

 

 

 

 

鎌先温泉の3箇所の旅館のお風呂に
無料で入れる湯めぐり札を貰い、1人で出発。

 

年甲斐もなく赤い鼻緒の下駄なんか
お借りしちゃって〜

 

カラン、コロン。 

  カンカン照りである。

    日焼けしそう。

 

急な坂道をぶらぶらと下って歩くこと5分ほど。

 

最上屋旅館。

「みちのく庵」の女将さんは、最上屋さんに嫁いでこられたんだそうで、
独立して「みちのく庵」の女将さんになられたんだそうである。

 

ということは、最上屋さんはご親戚ってわけ。

 

ここの茶色いお湯に入ってみたかったの。

 

湯治の年配の女性、県内からの日帰り客とおしゃべりしながら。

お湯は思いのほか柔らかで飲みやすく、ややしょっぱく、最後に鉄の味。
ぬるくちょうどよく、茶色い湯の花がたくさん。

たぶん男湯の半分くらいの小さな湯船。3人でいっぱい。

「ああ、足が痛いのが治ってきた…」と、湯治のおばさん。

 

 

あの一番上がお風呂場。

 

かなりきつい坂をエッチラオッチラ。

 

「ただいま」と言ったときは汗だくで…


 


 

湯めぐり札

 

 

 

本日のおやつ。

水まんじゅうと濡れ甘納豆。

お嬢、むくっと起き上がり「熱下がった。 だけどすっごく喉が痛い〜 水飲んでも痛いの」

「水まんじゅう冷たくて気持ちいいけど、いた〜い」

持参のトローチをなめさせ、強力な痛み止め投与。
「お夕飯のときまでには喉の痛みは消えてるはず。でも治ったわけじゃないから帰ったら医者に行きなさい!」

「あい〜」

 

 

ここのお食事を食べながら私の目の前で
「いたーい、いたーい、喉いたーい」と言われるのなんて心外!

さあ、今日はどんな器を愛でながら、どんなお料理がいただけるのかしら?
傍らに敷きっぱなしの布団、お嬢は首からバスタオル。

笑っちゃうくらいラフな空間で、料亭に行ったようなおいしいお食事をいただける幸せ!

本日のお膳。

残暑が去り朝晩ひんやりと、
長月の澄んだ空気の気配。
食前酒は微発泡のピンクの日本酒。

 

「ぜーんぜん、喉痛くない!ありがと〜!」痛み止め、バッチリ効いたようである。

「あ〜 そりゃよかったね」

「でもどうして薬持ってきてくれたの?」

「え? まあ、年の功? 多分…」


すすきの穂が風に揺れ、月に群雲、豊穣な秋の訪れ。

 

そろそろ脂がのってきた秋鯖。

焼きしめ鯖割りポン酢。
ほどよい酢加減。
青ざかなの力強さに負けぬ、夏の名残のころころと肥えた茗荷の爽やかさ。

 

舌にとろりとまとわりつく蟹と湯葉の胡麻和え。

品のよいかすかな甘み、胡麻の香りに、一気に箸で挟んで全部口に運びたくなる。


 

山々が暮れていき稜線が際立つころになると、庭に火が入る。

セルフポートレート。
 

 

昨夜なんとなくお食事のときビールを開けてしまった私は、途中で大変申し訳ないような気分になった。

やはりおいしい日本料理にはおいしい日本酒が合う。

  お米つながりか…

本日は蔵王酒造のお酒、熱燗。

 

お吸い物、鱧、松茸。

お椀の蓋を開け、お嬢思わず 「あ! 蓋の内側が金!」

その面にキラキラと輝く鱧の脂、黒塗りの椀の中で松茸が揺れ、
蓋の内側、目にも鮮やかな箔の中、一輪の菊もまた風に揺れる。

 

紅葉鯛。

写真撮るのを忘れ手が動き、気がついたら食べていました…

 

秋鮭ときのこの奉書焼き。

 

秋鮭、紙の上にその脂が光り、淡く反射する。

 

<雪月花の時に最も君を憶ふ…>

3文字が書かれた温かな色合いの器の蓋を取ると、かぼちゃまんじゅう。

あまり好きでないインゲンが、新鮮でとてもおいしいと思った。

箸でそっとまんじゅうを割ったときに、
中にあの柔らかな蛸が入っていて再会を楽しんだ。

 

いちじく、小茄子、しし唐の射込み揚げ。

 

じつにきめ濃やかに摺られたシンジョウは、驚くほどふっくらとした弾力が歯に伝わってくる。

 

そしてお宿からのプレゼントが〜〜!

 

すり下ろした山芋の上に海老、蟹、
ホタテ。

 

タレにくぐらせて食べる、が、そのままでもモチッとした食感、ほのかに塩味、
温かな山芋のとろみと魚介のダシで、
気がつくとおなかの中に消えていった…

 

ああ〜! …  栗ご飯…

この宿は、私が女将さんの名前を知っている唯一の宿である。

あとは若旦那の名前を知っている宿が1軒あるのみ。

しかし自慢じゃないがすぐに板長の名前が出てくる宿は4軒ある。

 

お食事の後で、仲居さんやスタッフに
「○○板長に、大変おいしかったと、よろしくお伝えください」と言うことが、 多分お顔を拝見することはないだろう板長に対して、私のできる精一杯の感謝の表現であり、夕食後と朝食後2回言うと、板長の名前を覚えてしまう。

 

今回このお宿の板長の名前を教えていただき、5軒目となった。

「まかべ料理長、おいしいお料理をありがとうございました!!」

お嬢2、病み上がりでもパーフェクトに完食〜!

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

「あー もうとっても癒されておいしくてお風呂もよくって宿の人もフレンドリーですっごくよかった〜〜」

「明日医者に行ってから仕事に行きなさいね!まあ、がんばり!」
 

 

「はい、そうしま〜す。 
 え? 自分だって明日仕事でしょ?」



そうだった…  忘れてた……