私たちは年に何回か叫ぶ… 
もしくはつぶやく…

「せめて暗いうちに帰りたい!」と。

ご他聞にもれずこの夏は私もつぶやいた。

 

 

ふと時計を見ると午前3時、しらじらと明るくなり気がつくと5時。

「お疲れ〜…」と言って外に出ると夏の朝日がギラギラと照りつけ、
6時半ならとうに電車は動き、すいている座席に腰をかける。

「あー せめて暗いうちに帰りた〜い…」

 

 

そして「終わらない仕事はない!」を合言葉に怒涛のように時間が去り、
なぜ終わったか不思議な気分に襲われながら一日中寝て、そして目が覚めて宿に予約を入れる。

 

 

温泉だ!

   温泉だ!

      お〜ん〜せ〜んだ〜!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2006年8月19・20日(土・日)
 
http://www.ginga.or.jp/~namari-onsen/

岩手 花巻・鉛温泉 藤三旅館

旅館部 1人泊 19日はお盆料金@12000円
20日平日料金@8000円

電話で予約のとき「6畳、クーラーなし、山側のお部屋です」と言われ、
それなら自炊部のお部屋でもいいんじゃないかと思った。
多分お食事が違うんだろうけど食事目当てではなし、自炊部の部屋も6畳、テレビも付いている。

しかし、仕事疲れでカンが冴えない。このボケ〜ッとした頭では、思考が巡らない。
何かこう、テキパキと聞くべきことがあるはず、と思いつつ、言葉が出てこない。
(これはまずいな。こういう状態で自炊部に決めるのはリスクが大きすぎる…)

「それで結構です」と返事しながら、頭の中の、このひっかかりは何なのだろう…

 

住所、名前、電話、携帯の番号を聞かれ、予約成立。

 

フロントはなく、玄関脇の事務所から出てきたお兄さんが、靴に名前を書いた紙を入れて靴箱に収納。

記帳なし、パンフレットなし、宣伝物皆無、観光案内関係もなし、いたってシンプル。

 

日帰り入浴客が座っているロビーで待つこと暫し。

 

目の前は豊沢川。

車のない人間にとっては新幹線・新花巻からの無料のバスは大変ありがたい。
各旅館の入り口まで回り込んで降ろしてくれるので、足の不自由なご老人も数多く見かけた。

点在するたくさんの温泉あってのことだろう。
私が前回に引き続き岩手の温泉を選んだのも、この無料のシャトルバスゆえでもある。

 

仲居さんに呼ばれ、お風呂の場所とお風呂の男女の時間帯等説明を受け、2階の端のお部屋に案内される。

お風呂の源泉は全部違うそうである。

 

テレビ、金庫、バスタオルなどのアメニティ、夕食の時間はかなりフレキシブル、7時にしてもらう。
お部屋食である。

仲居さんに “2連泊、お掃除なし・お布団敷きっぱなし宣言” をして、了解いただく。

 

本日曇天なれど暑い!

都内よりいくぶん涼しいけれど、小さい6畳間、風が通らず扇風機を回す。

左の襖の向こう、2畳ほどの踏み込み、ドア。

 

椅子・テーブル。

ガラス戸にカメムシ注意報が貼ってある。

大きなタオル掛け。

 

ガラス戸1枚分、網戸が打ち付けてあるが暑いからガバッとガラス戸上下とも開け放つ。

目の前は道、使われていないらしい倉。

でも緑は清々しい。

 

階段は昔の幅の狭い滑りやすい階段である。

子供が滑って尻餅をついていた。

 

私の部屋は旅館部の一番端なので、長い廊下を通って自炊部のほうにある風呂には、かなりの距離を歩くことになる。

 

トイレはその途中にぽつんとある。

 

きれいなシャワートイレ。

クーラーギンギンに効いていて寒い。

 

自炊部入り口。

ところどころに立て札があり「自炊部の方は風呂に行く以外は、旅館部に入らないでください」と書いてある。

旅館部の人のスリッパは赤く、自炊部はベージュだった。

 

長い長い長い廊下、暑いからドアを開けている部屋もあり、旅館部の私の部屋とあまりかわらない。

川のほうの部屋は、かなり川音がしている。

なんと!私の部屋にはない冷蔵庫が見えた〜! 

 

河鹿の湯、入り口。

飲んでみるととても柔らか。 ああ〜〜 久しぶりのお風呂だ〜〜

 

 

 

 

売店には雑誌やおもちゃ、野菜・果物、カップヌードル、漬物、スナック、色々売られている。

おみやげ物はあまりない。

 

「御手洗」

ん? おてあらい… ハッ!!

 

中に入ってみる。

洗面台。

 

内部。

  きれいに掃除されている。

    そして…

 

そーだよ、これだよ!
予約のとき、自炊部に関して何か聞かねば!!と思いつつ出てこなかったこと。

旅館部にして正解だったかな?

 

私の部屋のすぐ脇は、上はおじさん風呂、下が女湯になっているので…

下の女湯に行ってみる。

 

脱衣所。

ここもクーラーが入っていて涼しい。

HPによると「竜宮の湯」っていうんだって。
どこが竜宮だかわからないけど。
お湯は豊富にかけ流し。 縁から溢れる。

 

 

景色はよくない。

伸び上がれば草むらの向こうに滝が見えるが…

 

黒っぽい湯の花がもわもわと浮き上がる。

源泉の温度が高いので、どこもやや熱め。

気持ちいいけど長湯できない。

7時10分くらいにお食事が運ばれる。

 

 

冷めていたけどまるまると太っておいしい鮎だった。

その向こう、ローストビーフの下には、
ドレッシングであえた野菜が敷かれている。

 

鮎の脇の前菜。

クリームチーズを杏でロールにしたもの、キュウリの下にはモロミ、姫竹も柔らか、甘酸っぱいヤマモモ。

丁寧に、手をかけている。

 

冷製茶碗蒸し。

カニ、じゅん菜。

    

 

茶碗蒸しの中にゼリー寄せが…

 

ウニののったトロロの下にはキノコが、山菜の煮物の上にはジャコが。
    

 

冬瓜をホタテのソテーで巻いたもの、サーモン、海老。

とろっと優しい味のクリームソースが敷かれていた。

 

茶素麺、はんぺん、大葉、ネギのお吸い物。

 

香味豚の鍋。

あっさりポン酢で。

安い料金なので、こんな心のこもったご馳走が出るなんて思わなかったよ〜!

混浴の深いお風呂「白猿の湯」は、
朝7時〜8時半、午後14時〜15時半、
夜19時〜20時半の時間帯が女性専用時間となる。

 

 

入り口に「覗きと誤解されかねないので、写真撮影禁止」と張り紙がある。当然。
“李下に冠を正さず”である。

夜20時25分、私が最後の1人となったので、完全に誰もいないお風呂場を写させていただいた。

 

 

大きい浴槽は深さ1m25cm、
中央の底から熱いお湯が出て
いる。

階段直下の小さい丸い浴槽のお湯はぬるく、人肌。

1人でいっぱい。

底のサイドから、やはりぬるい
源泉が出ている。

 

 

 

 

誰もいなくなったお風呂場の小さな湯船で、10分ほどぬるいお湯を楽しんだ。

とどのつまり、私は人肌のお湯が一番好きなのである!!

 

掛け布団、ポリエステル綿のふかふか…

本日、ちょ〜暑い!

カバーに使われているシーツをはがして、タオルケット代わりに使用。

 

夜中に激しい驟雨。

トタン屋根を叩く雨音を聞くのは久しぶりだ。

その後気温がグッと下がり、とてもしのぎやすくなった。

 

 

朝ご飯。

 

 

厚切りのベーコン、懐かしいバターの香りが鼻先をふっとかすめる…

 

 

 

朝6時から10時の間のみ、旅館部のお風呂が入れ替わる。

 

この時間帯しか入れないおじさん風呂に…
女性用・男性用の化粧水、ローション、ドライヤー。

 

風呂場から入り口方向。

 


 

思わず私は、声を出して大笑いしてしまった!
鯛やヒラメが舞い踊ってるよ〜〜
どうみてもこっちが「竜宮の湯」でしょ?! 
HPの記載が間違っているよ。
なんともはや絵に描いたような男尊女卑の構図、実際の位置もおじさん風呂が上。
しかしつい最近までの、これが現実!
 


 

寝湯、じゃなくて座り湯??

かつておじさんたちはここに座って長々足を伸ばし、夕食後の
宴会に思いを馳せたんだろうね〜
 


 

下の小さな女湯では、お母さんに連れられた子供たちが体を
洗ってもらいながらひしめき合い、
体を伸び上がらせて外の草むらのかなたの、小さい滝なんぞを見やり…
 

 

そのころはガラスも美しく磨かれ、川の流れもよく見えて…

おじさんどもは窓をチラッと覗いて宴会場に…

カニもいるよ〜〜!

 

 

散歩。

簡易郵便局。

 

自炊部入り口。

 

上流に赤い橋が架かっている。

 

橋の上から。


 

一番手前のカーブした建物がさっきの「竜宮の湯」。
その下、建物の柱で隠れた部分に女湯「白糸の湯」がある。

かつては総瓦だった屋根も、いまやかなりトタン屋根になっている。

川に沿って長く長く、手前旅館部の本来の木造、真ん中にクーラーも付いた、多分今風のきれいなお部屋、その向こうに延々と自炊部が。
 


 

私の泊まっている部屋は木々に隠れて見えない。
3階の部屋もかなり暑かろう…
 

 

 

温泉を川に流しているので水蒸気が上がり、幻想的な風景となる。

 


 

今夜の夕ご飯。
7時にお願いしておいたら、7時20分くらいに
「お待たせしましたね〜 すみません、おなかおすきになったでしょ〜」 と。
 

 

酢味噌で食べるエビ、ホタテ、クラゲ、
コンニャク。

たくさんあって、下のほうから食べても
食べても出てくる。

 

丸ナスのあんかけ。

 

ホワイトソースであえたカニ肉、野菜類が中に入っている。

冷めているが、いいお味であった。

 

マグロ?のカマ。

蕗味噌添え。

 

冷めている。

でも脂がのっていてとてもおいしい。

塩加減もちょうどよかった。

 

本日は牛肉の陶板焼き。

お肉はそんなに柔らかではないが、充分においしくいただけ、なによりも手作りのニンニクの効いたタレが嬉しい。

デザートのスイカもメロンもブドウも、
甘く、夏の味がした…

 

露天「桂の湯」脱衣所。

クーラーが効き、きれいである。

  内湯。
 

5〜6年前に新しく作られたらしい。
HPで見るとおじさん風呂のほうは壁が1方向しかなく、川が開けて見え、
大変眺めが良さそうである。
 

  内湯から露天方向

 

「2日目の朝食はいりません。おにぎり作ってください。帰るときに持っていけるように」と
仲居さんにお願いすると、目を宙に据えて考えながら
「明日の朝食はいらない、そのかわりおにぎり弁当、チェックアウトのときにお渡しする、で、いいですね」
「お願いしま〜す」

というわけで朝食の時間はお風呂に充てる。
 


 

川がすぐそばである。
流れが速い。気持ちがいいが、お湯は私には熱い。

そして… アブがいる…
 


 

いつでも少々いるが、昨日の夕方は大群が来た。
素早く白いタオルを頭に巻き、首までお湯につかり岩と同化してじっとしていると去っていったが、
あのブンブーンブンブンブン  ブーンブン はそうとうウザッタ〜イ!

高めのお湯の温度といい、この辺は冬のほうが宜しかろう。
厳しい寒さのところは、自炊部でも暖房はしっかりしているところが多い。
 


 

昨日、アブ大群通過待ちしてから、5〜6人入ってきたのをしおに出て、脱衣所で1匹ブンブン、バスタオルで昇天させたのち入り口に向かったら背後から
「キャー キャー 何か飛んでるー 何これ! キャーーー !!」
という絶叫が聞こえた…
 

 

じっと夜を待つ蛾は、子供の手のひらくらいの大きさ。

人間の活動期は、他の生物だって活動したいわよね〜

 

チェックアウトもいたってシンプル。

靴を出してもらい、お金を払い、おにぎり2個の割には信じられないくらい大きな弁当の袋を手渡される。

坂道を宿のバンに乗り5〜6秒、上の道にあるバス停に。

 

今朝もまた雨が降り、気温もまあ低め、しのぎやすくしっとりとしていた。

 

あっという間に温泉三昧の2日間が終わってしまった…


 

さ〜て、次はどこに行こうかな〜

やっぱり私は人肌の温度のお湯が好きなのだ。
ということは、このへんで究極の人肌温泉に行ってもいいころではなかろうか?
そろそろ新蕎麦の時期だし…
 

 

新花巻駅で探して見つけた「早池峰霊水」。


 

新幹線の座席に着いて開けてみた。
確かにおにぎり2個、そしてたくさんのおかずが…

大きなホッケ、ひき肉の入ったオムレツ、数の子・イカ・コブが入った松前漬け、蕗と身欠ニシンの煮物、
オムレツの下にカニと玉ねぎのマリネ。鉄砲漬け。
海苔の巻いてあるほうは海苔の佃煮、ゴマのおにぎりは梅干が入っていた。

「通過の宿」…

馴染みの客も一見も、通過していくのである。
あの川に沿って長く長く連なる宿を。
そんな大勢の中の1人、通りすぎ、去っていく私の最後の姿に、おじぎをして送ってくれるかのような…

お弁当であった。