草津温泉 日新館

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2006年4月9日(日) 1人泊 @14850円

 


 

くしゃみが出て寒気がする。
連日の気温の乱高下で、体がついていかないのかも。
年だわ…

明日は温泉、参ったな〜…
先日の若女将のように、少々熱も出てきたみたい…

私は風邪薬を飲むとボーッとして眠くなってしまうので、極力飲まないようにしているのだが…
こりゃだめだ〜 というわけで“ルル3錠”飲んで寝た。

本日お天気もよく、東京の桜は強い風雨にも負けずに、今年は頑張っている。
 

新幹線もボーッと乗っているうちに軽井沢。

 


 

ここはどこ〜? あ、草津!

気がついたら本日の湯畑。
気温5度くらい。日差しは暖かいが風がとても冷たい。
 


 

湯畑の周りの雪はすっかり溶けて、やっと春の気配。

「松乃井旅館」の、湯畑の源泉の感じがとても希薄だったので、湯畑の源泉再び!というわけで、湯畑からお湯を引いているお宿へ。
 

 

雪も溶けて、つるりんしたのがうそのよう。

 

本日のお宿、湯畑下・草津最古のお宿「日新館」。

 

敷地は広いが部屋数は12部屋。

1人でも泊めてくださり、料金も安い。

“最古”という強力な宣伝材料を使って露天付きの部屋でも作れば、3倍くらいの料金を取れそうな気もするが、そんな気は毛頭ないらしい。

 

フロント。

左のガラス戸の奥には座敷のお食事処。

10室前後のお宿の典型的なフロント、のかんじかな。

 

おねえさんに案内されて、階段を上がってからまた降りて、1階の23号室。

8畳、椅子・テーブル。3歩歩けばすべて事足りて理想的。

館内図を見ると、12部屋のうち8畳の部屋が8部屋、やや大きいお部屋が4部屋。

 

窓の外は中庭の向こうに滝下通り。

通りの向こうは松村屋。

 

部屋に入ってすぐ右に洗面と冷蔵庫。

左にシャワートイレ。

 

冷蔵庫。

空きスペース充分。

 

棚にこんなものが…

 

あらま… なんとも懐かしい裁縫セット。

ずーっとここにいたのね〜

  これからもずーっといるのね〜

 

さて座椅子に座りおねえさんが淹れてくれたお茶を飲みながら、ぼわぼわの頭で何も考えずにやまぶき饅頭をいただき…

 

目の前にある、のびのびとした書の掛け軸などをボーッと見て、高価ではないがけして安物ではないと思える壷を眺め、
真っ白でシミひとつない障子は気持ちいいもんだ、などと…

 

首を回して背後の壁にかけてある、なかなかいい画など鑑賞して…

えーっと…

  何するんだっけ?

ああ〜 風呂だ〜

  動くのおっくう… 

このまま寝ちゃいたーい…

 

しかし、そうか… 

  湯畑の湯再び!だったのだ〜 

     ううむ。

一大決心をして立ち上がり、部屋を出て歩き出し、鍵をかけ忘れたので引き返し、この階段ですべったら、そうとう恥さらしだからしっかりせねば!

 

窓の外。

  ぼわーっとしばらく眺めていて… 

ハッ! 風呂だ…

 

階段をまた上がる。

風呂は3階にある。

 

無料のマッサージチェアが両方の入り口の横に。

男湯は内湯と、外に小さい露天があるそう。

女湯には大小2つの内湯のみ。

露天とはいえ、造りからすると裏は崖状に迫っているから、たぶん眺望は皆無だと思う。

 

ノレンを分けて戸を開ける。

おお〜 なかなかいいじゃ〜ん!

風呂場の戸を開ける。  いいじゃん、いいじゃ〜ん!

 

 

大きいほう。

お湯が溢れている。

湯気が重くゆったりと生き物のように漂う、このかんじ。

草津のお湯特有のこの湯気を見ると、スタニスワフ・レムのSF小説『ソラリスの海』を思い出す。

 

異星の知性を持った海が、穏やかにうねったり波だったり、荒々しく巻き上がったりするその様を…

 

草津の宿はチェックインが早く、14時から、というのが普通である。

12時、13時というお宿もあり、この宿も13時から。

それより早く着いちゃっても、たいがい「どうぞどうぞ〜」である。

そのかわりアウトは高級旅館でも10時。

「お荷物はお預かりします、でもアウトは10時です」

草津の気風なんだろう。

 

からん、シャワー。

 

天井は高く、換気扇はない。

ゆえにブンブンしない。

落ちるお湯の音だけである。

 

天井の太い梁。

 

湯気抜きの格子は上半分開いていて換気はとても良く、夜はかなり寒い。

 

大きい浴槽のグレーの湯の花。

お湯はわりとぬるく、入った直後のあたりは柔らかい。

飲んでみると「すっぱ!すっぱ!すっぱ!」のあとに植物の青臭さのような…
このにおい、なにか記憶がある…

なんだろう?

  思い出しても出てこない。

ううーん、イライラする!

 

隅にとても綺麗なビリジャンの微粒子のパウダーが溜まっている。

お湯が動くと、あっという間に見えなくなってしまう。

 

さて、そろそろあっちの小さいほうへ〜

あの半端じゃないかけ流しの量!

 

石も緑色に変色し、このお湯はやや熱く、そして大きいほうと比べるとあたりは格段に良く、入った瞬間に「あ、こっちのお湯にキメ!」

 

湯畑の湯でも、違うところから引いているのだろうか…

飲んでみると、味はまったく同じように思えるが。

この蒸散物の付着の量。

体を被う皮膜感、お湯が動いているためその皮膜が破られ続ける瞬間瞬間の、ピリッとする皮膚感

すごくいい!

 

いやー 頭スッキリ! 

調子にのって長湯すると大変なことになるので、2〜3分入っては
上がり、また入り…

 

ここも湯の花がどんどん押し寄せてくる!

 

あー!! シャッキシャキよ〜

なーんてアッパーなお湯なんでしょうね!草津のお湯は!

俄然目パッチリで、散歩&お土産の買い出し!

 

西の河原通りを元気に歩いて“草津煎餅本舗”で<道中餅>と<ごまねじり>を。

おばさんが「お天気になってよかったですね。

今朝は雪降ってたから」

あっら〜!!

 

そうね、日陰はまだ雪が積もっている…

 

でも西の河原のプクプクも、もう春の気配。

 

滝下通りは老舗のお宿揃い。

日新館の隣は、かつて若女将が泊まった「大阪屋」。

 

散歩の後、またお風呂に。

2つの浴槽は同じお湯なんだろうが、2〜3度の温度の違いとかけ流しの量で、こんなにもお湯の感じが違うものなのだろうか…

「松乃井旅館」のお湯はぬるかった。

たぶんぬるさのせいで印象が薄かったのだ。

ここの大きい浴槽もインパクトがない。

草津のお湯は… 熱くなければならない要素があるのだ…

      

 

ふと気がつくと、さっきより湯の花の量が増している。

 

綿の湯のように際立ったコロイド感はないが、湯畑の湯も皮膚にまとわりつく感じがはっきりとあり、
これが“湯畑の湯”なんだ、という印象がつかめて私は大変満足した。

 

なんてったって<草津最古の宿>であるから、その辺中にお宝がある。

 

廊下。

ドア脇に明かりがついているのが本日のお部屋。

 

とびっきり、ではなくとも、江戸時代から大事に使われてきたらしきものが廊下に飾ってある。

 

きゃ〜!! 

お分かりでしょうか、この肌荒れ…

先週美肌の湯でつるつるになっていたお肌は、2回入っただけでガサガサに…

草津には、ボディオイル、もしくはボディバター必携です。

顔なんか洗ったらとんでもないことに…

 

お食事。

1階のお食事処で。

プラス1050円でお部屋食に。

1人泊の人にはありがたいかも。

気を遣って、テレビのそばの壁際に用意してくれていた。

年配の女将さんが1卓ずつまわって、丁寧にご挨拶。

 

 


箸袋に印刷された、お宿とゆかりのある「草津小唄」。

「あれが、源頼朝公から賜った家紋でございます」

さらりと嫌味なく<最古の宿>のいわれや歴史など、女将さんが座敷の隅に座って話されると、他の卓のひとたちが
「へえ〜」

「頼朝が座った石が“御座石”、入った源泉が“白旗の湯”で…」

「あ、さっき入ってきました〜」

「ああ、そうでございますか、ほかにもたくさん外湯があります。この隣にも“千代の湯”が」

<白旗の湯>… 私は複雑な思いで女将さんの次の言葉を待つ…

「御座石のそばの“白旗の湯”は、昔は“御座の湯”と呼ばれておりました。このお湯が“白旗の
湯”と改名されたのは…」
ということはもちろん話されず、話題は壁の達筆の書に移っていった…

草津に来るたびに、草津をより知るようになればなるほど、
そして草津を好きになればなるほど…

私の中に、困惑が深まる…

 

 

大きな塩焼きの有頭海老。

ブリブリッと締まって食べ応えがあり。

レタスには何もかかっていないので、どう食べたらいいかちょっと困る。

 

うど、水菜のしゃきっとした野菜、春雨のサラダの酸味が、鱒の身の脂とよく合っていた。

 

 

 

下の3点は、足を取ってあってグロテスクじゃないイナゴの佃煮、鴨、胡麻麩。

草津のお造りのマグロは、切り身がすごく厚い。

刺身とは、その魚にあった厚みがあると思う。

マグロでも、赤身、中トロ、トロと、当然それに合った厚さに切ってほしい。

鮮度はそこそこだからそのぶん気前よく厚く切りました!って感じの草津のマグロは…

気持ちはありがたいんですけど、これがね、けっこうね、大変なんですよ。

刺身がおいしいと感じられるシャープなエッジの舌触りや、ひんやり感を伴った厚み、というか薄さがなくて、にぶいかたまりが口中に入るんですよね。

ちょっと苦手。

 

 

わらびの煮物。

歯ざわりがとてもよかった。

 

ぽっくぽくした長芋。

イカのだしがよく出ていて、がんもどきにもしみていて、おいしい。

女将さんが来て「お一人でよくおいでくださいました」

お風呂のことを聞いてみた。

女湯の2つの湯船、どちらも同じお湯だという。

子供も来るので大きいほうは温度を下げているとのこと。

条件が違うと、あのように差が出るものなのか〜

 

冷たいお蕎麦。

ふつーにおいしい。

 

焼き物は豚肉。

玉葱、白舞茸、ピーマン、カボチャ。

味噌だれで。

豚肉、柔らかくとてもお
いしい。

 

ご飯も吟味されたものが出され、おいしくいただいた。

デザートのイチゴ、オレンジとも、食べやすいように包丁が入っていた。

8畳の、シンプルで使い勝手がいい清潔な部屋に合ったお食事。

華美でなく実質的で、そして丁寧。

 

部屋に戻ると、もちろんお布団が敷いてあった。

掛け布団は、羽根布団。


   ん?

 

思わずあせって敷布団点検!

よかった〜 マットレスも敷いてある。

 

8時を回ると、外の人通りもなくなる。

風邪薬を再度飲んだので、またもぼわ〜っとしてくる。


 

ちょっとウツラウツラしてしまったが、このまま寝るのはあまりに忍びなく、
やっとの思いで風呂場に…

やっぱり小さいほうの湯船。
夕方よりややぬるくなっているが、皮膚を被う感じが俄然強くなっていて、
お湯が生きていて、時々刻々と変わっているのがダイレクトに分かる。
で、パッチリ目が覚める。

そして草津の朝のお湯はいままで泊まったどの宿でもぬるく、多分夜気で冷えるせいであろうが、そのぬるさが、お湯もまた目覚めかけたような優しさで、帰り際に足湯をつかうと、膝頭にひたひたとセクシーにまとわりつき、
「もう一度お入りよ…」と誘われると、服を脱いでまた入りたくなってしまうのである。

いかん、いかーん!
 


 

 

8時に朝ご飯。

同じお食事処。

 

ブロッコリー、キャベツはほどよくボイルしてあった。

生のバリバリのキャベツは遠慮することが多いが、こうするとキャベツの甘みが出るし食べやすい。

ロースハム。

 

煮浸しの上に、炒りたての香ばしいゴマがたっぷり。

 

温泉卵。

 

ぷっくりした大きな花豆。

草津の花豆は大きい!

そしておいしい!

 

左、ちりめんじゃこ。

右、ふき味噌。

 

大きなお椀に具沢山の熱いお味噌汁。

今朝のご飯もおいしかった。

 

お食事処の壁にかけてある、かつての建具。

 

帰り際、また雪が降りそうな曇ってきた空を見上げた。

でも、間違いなく春はきている。

 

 

 

帰ってきて「草月」の舞茸まんじゅうをチン!して食べた。

そのとき思い出した。

湯畑のお湯に似ているにおいを…

いまはもう見当たらなくなったけれど、私の育ったところでは、夏がくると焼き芋屋さんがお店を金魚屋に変えた。

石焼用の壷は片付けられて、金魚すくいのために大きな水槽が置かれる。

あの、金魚屋のにおい…

水臭いような、やや生臭いような、魚臭いような… あの、金魚屋の前を通ったときのにおい…

あれだ〜!!

あ〜 すっきりした〜!

しかし湯気の出るまんじゅうを食べながら、背中がゾクゾクしてなんだか頭が痛いの…

帰ってくるまではなんともなかったのに…