秘湯 ランプの宿 青荷温泉

http://www.yo.rim.or.jp/~aoni/

2006年4月22日(土) 2人泊 JRビューパック宿泊のみ料金 @9800円

 

 

さて本日は「いわき荘」から送りのバスで弘前に出て、弘南鉄道に乗り換え黒石駅に。

 

黒石の<こみせ通り>をちょっと歩き、老舗の酒屋さんなどを見学したのち…

 

タクシーを呼んで一路「青荷温泉」に。

宿は近年、1箇所のお風呂、混浴の露天を男女別に改築したらしいが、もう1箇所の露天はまだ混浴。

HPには「レディスタイムあり」とあったが、この手のレディスタイムはおおむね夜。

ランプの宿の夜の露天なんて、私にとってまったく意味がない。

 

宿に電話で確認すると、日帰り入浴のために13時から14時まで女性用にしているという…

黒石からのバス、その後の宿の迎えの車の時間に合わせると、チェックインは16時半過ぎになってしまう。

時刻表とにらめっこ、黒石のタクシー会社に電話、なにがなんでも13時には到着してあのお風呂に入るからね!!

青空のもと黒石からタクシー30分、4900円なり。

 

ものすごいヘヤピンカーブを登りつめ、その後もすごいカーブを下りに下り…

見えてきました!青荷温泉!

左の建物は<健六の湯>、男女別のヒバの内湯。

2階は宿泊施設。

右手前、水車館、その向こうに本館。

 

宿に着く手前の坂。

かなりの勾配。

 

思わず抱きつく人!

 

思わず笑い出す人!

目の前は南八甲田から流れる青荷川

 

 

本館玄関。

12時50分到着!

 

お土産処、喫茶コーナー入り口。

廊下を挟んで後ろにフロントと大広間。

ランプだけでなく小さな電球があったので、思わず見あげたら「自家発電!」と、背後から売店のおばさんの声。

おそらく1日に50回くらい叫んでいるのであろう、声に辟易感がにじんでいた。

 

部屋の準備は当然できていない。

「混浴の露天のレディスタイムに間に合うようにタクシー飛ばしてきた」と言ったら、エプロン姿の女将さんが荷物を預かってくれてバスタオルも貸してくれた。


 

 

いそげ〜〜〜  13時10分。

あっれぇーーー!!

入っていったらおじさんたちがお湯から悠然と上がってきて〜!!

「13時からレディスタイムです!!」

脱衣所は棚があるだけ。

服を脱ぐ前に点検。

ちょっと、これ、もしかすると…

      丸見え?

「見えてもいい!ここに入りたい!」と言って入った大胆な人。

 

 

そうね… 
  気持ちは分かるが… 
    私はちょっと…

奥でも充分。

見えないように引っ込んだところで伸ばした足。

タクシーで飛んできた甲斐があるお風呂であった。

貸切状態。

13時50分に服を着だしたら、タオル下げたおじさんが入ってきた…

まあ、これはあちこちからパーフェクトに見えてましたね〜。

 

本日の部屋は離れ<十方堂>。

つり橋を渡って。

 

川のすぐそば。

裏には池があるんだそうな。

 

<十方堂>入り口。

 

かやぶきの木づくり。

高い天井。

廊下を挟んで左右に2部屋ずつ。

廊下は畳敷き。

 

玄関脇のトイレはウオームレット。

洗面には水の蛇口のみ。

身を切るような冷たい水が出る。

 

お部屋は6畳。

隣との仕切りは襖。

内鍵はかかるが、外からはかからない。

お湯のポット、お茶セット。

座卓と座布団のみのシンプルルーム。

 

寒いのですぐストーブに点火。

酸欠で死ぬから寝るときは消すように、津軽弁で注意書きが。

その他ランプの扱い、食事の時間などが津軽弁でユーモラスに書かれている。

ガラス戸の外はすぐに川で、雪どけのせせらぎの音。

ガラス戸を開けて外に出てみました。

 

 

浴衣、アメニティ。

シーツ、枕カバー、布団の襟カバー。

布団は押入れから出して自分で敷
く。

 

さて次なるお風呂は<滝見の湯>。

このお風呂は、入り口は男女別で混浴だったのを造りなおし、男女別の内湯と露天になっている。

工事中でかなりガンガン音がする。

あとで聞いたら、新しい建物が欠陥で、湯気抜きがうまくいかず直しているとのこと。

「古い建物はそんなことなかったんだけど」だそうです。

 

ときどきガンガンやっているが、夕方で終わるんだろう。

ここのみ自家発電による小さい灯りがつき、ドライヤーもあった。

新しく綺麗な脱衣所。

日帰り入浴客は石鹸・シャンプー持参でこのお風呂に入っていた。

  内湯
 

水の蛇口があるお風呂場もあるが、シャワー、お湯の蛇口はどのお風呂にもない。
そしてポンプタイプのボディソープ1本のみ。
「妥協はここまで」と言っているようである。

お嬢、シャンプーしたくてもどうしたらいいかわからず、ついに上がり湯を頭にかけていた。
源泉を桶でためて上がり湯とし、それが湯船に注がれている。
左端奥にも湯口が。
 

 

落ちるお湯はやや熱く、湯船はぬるめでちょうどよく、湯量は豊富。

無色透明、無味無臭。

山の温泉特有の、苔や枯葉や植物の小さな断片が湯の花のように舞っている。

 

露天。

お湯の温度は人肌。

お嬢「ぬる〜い!風邪ひく〜」と内湯に去っていった。

 

半端に短時間入るから風邪ひきそうになるのである。

人肌の温泉は、どっぷり30分コースよ。

正面に高く高く滝が。冷たい空気。

青い空。

そしてとても速く流れていく雲。

う〜〜ん ま〜ん〜ぞ〜く〜 足。


 

 

男湯との仕切りの壁を取ってしまいたーい!

なんか、壁を取り去ってくれたら混浴でもいっか、みたいな気分になってしまう。

シェアしてるんだから、仕方ない。

 



でも… いいんだよねえ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきの露天といい、このお風呂といい…

本州のはて、奥深い山の温泉に入っているのだ〜!という満ち足りた気持ち、胸にひたひたと溢れ
てくる。

 

水車館の内湯。

ヒバで作られた脱衣所。

 

夕方の長い日差しの中で、ランプがかすかに、その存在を主張しはじめている。

温かく懐かしい小さな総ヒバのお風呂… 静謐。

 

6時に大広間で夕食。

本日満室。

自分の名前が書いてある札を探してウロウロ。

バスで来た団体が部屋のほぼ3分の1を占めていた。

 

窓から残光がまだあって明るく、献立はちゃんと分かった。

山のお食事。

おかずもたくさんある。

席は押せ押せで隣の客と肘触れなんばかり。

 

おか盛りされたお蕎麦に、自分で鍋から温かな汁を入れる。

ご飯も自分でよそい、炭火にかざしてある岩魚も1本取ってくる。

 

一見サーモンかと思ったが、明らかに違う。

あとでご主人が団体客に説明しているのを聞いていたら鱒となにかのかけあわせ、とのことで、じつに歯ごたえのある強靭な筋肉という感じの、脂ののったワイルドな味だった。

 

岩魚はとてもおいしく、川魚嫌いのお嬢が「おいしいね〜 もう1本食べていいの?」

「なーに言ってるの!だめ!」

 

闇が迫りランプの灯りが輝くようになると、鴨鍋の中身を口に入れてみて初めて鴨かネギか分かる状態となる。

ほの暗さの中、柔らかい鴨肉を噛みしめしみじみおいしいと思い、さつま芋の天ぷらだと思って食べるとポリポリと音がして、そしてそれがタクアンの天ぷらだと分かるのであった。

会席も、イタリアンも、フレンチも、霧の如く闇のかなたに消えていき…
<ふきのとうの花の酢の物>の色も定かでない、かすかな苦み、酸味、そのクッキリとした存在だけが舌と頭に残る、なんともおいしい晩ご飯であった。

団体さん御入場で騒然となる。

 

 

ご飯のセルフサービスで右往左往、厨房との境に設けられた出窓に各自酒の注文、名前を呼ばれると自分で取りに行く、立ったり座ったりしばし忙しい。



団体さんのツアコンが明日の予定を話しているので、耳ダンボにして聞くと…
「明日は7時に朝食、8時に集合、出発しますから」

ということは、7時にお風呂に行けばいいということだな〜。

 

 

食後は、みんなたいしてないおみやげ物を見たりコーヒーを飲んだり。

飲み物も売っていて缶ビール320円、ペットボトル150円。

もちろん冷蔵庫も自家発電電力で。

 

夜8時のフロント、廊下。

正面緑の灯りは“非常口”。

消防法で定められているので付けなければならないのだが、ご主人にはこの色が不満らしい。

本館のトイレは、自動的に点灯するライトが付けられていた。

お年寄りの湯治客もいるだろうし。

 

部屋のランプ。

夕方ランプ係りのお兄さんが1部屋ずつまわって掛けていってくれる。

 

一番大きな灯りは、つり橋のたもとのランプ。

その付近の灯りは本館裏口と、離れ。

右上にポツッとある灯りは、小高い駐車場から宿へ降りる道の木の枝に下げられた、ランプの灯り
である。

闇の中で輝くこのたった1つのランプの灯りの、なんと感動的なこと…

その明るさに、私はしばらく見入っていた。

頭上には天の柄杓が煌々と輝き、流れ星が1つ…
          また1つ…

 

朝の<健六の湯>。

男湯、女湯の間に、2階の部屋に上がる階段。

 

お掃除している脱衣所を撮らせてもらった。

 

ここも総ヒバ造り。

昨夜入ったらかなり深く、お湯は熱く、闇のなかで一瞬刺激を感じ、うっとりするくらい新鮮なお湯が表面を押し寄せてくる、その勢いが強烈に嬉しかった。

いいお湯である。

いいお風呂である。

 

さましていないせいか源泉そのままの感じが伝わってきて、ヒバの香りのするこの高い天井のお風呂の魅力を、もっと存分に味わいたいと思った。

 

昨夜は暗くてよく分からなかった。

五右衛門風呂の露天。

かなりぬるい。

その下のお風呂はすごくぬるい。

露天からの景色。

 

 

朝食。

8時に行ったので、団体が去った後の大広間。

 

広間全体が湯気で曇っていた。

夏休み、林間学校の、みんなで食べた朝ご飯のにおい。

 

ホタテと山菜。

 

山芋の千切り。

 

お味噌汁。自分でよそってくる。

山の朝ご飯、おいしい。

 

昨夜お嬢とひっそりと入った水車館のお風呂。

1人、2人、後から入ってきたが、みんなとても静かにこのお風呂を味わっていた。

優しさに満ちたお風呂だった。

 

水の蛇口が1本。

源泉の上がり湯。

ボディソープ。

 

お掃除している男湯の写真を撮らせてもらった。

「あ、こっちは岩がないんですね?!」

おばさんが「そう、女性優遇なの」

岩が?優遇?

 う〜ん… ちょっとびみょー。

 

帰り際、思わずVサイン!

 

こちらは思わず大笑い!

 

9時半発、バス停までの送りの車には私達だけ。

心から楽しめた温泉であった。

個人的な感想だけれど、滞在の時間は短いのに、こんなに充実感がある温泉もまれだと思った。

 

急な1本道の所々に、宿のご主人が書かれた津軽弁の標識がある。

運転してくれた宿の方のお話では、自家発電や、1車1日200リットル消費の雪上車の燃料費等、最
近の石油の値上がりで大変だそうで、1つ1000円のランプのホヤは、扱ったことがない宿泊客が明
るくしようと芯を出しすぎ、過熱させてたびたび割ってしまうそうである。

220個のランプのホヤ磨き、芯切り、灯油の補充、夕方1部屋ずつ掛けてまわり、朝回収する。ラン
プ係のお兄さんがつきっきりでやっていた。

 

正面、南八甲田山。

電線1本引けば、宿の維持費はおそらく何割か安くなるだろう。

きっぱり潔く、不便さを信条とする宿であった。

弘南鉄道車中から、岩木山。 平野のかなた、津軽富士は淡くたおやかに春霞の中に広がる。

 

 

黒石・こみせ通り、喫茶店にしていた
<高橋家>中庭に咲いていたカタクリの花2輪。

 

浅虫温泉、本日もお天気よし。

去っていく冬の背中を追いかけるように、今年は北へ北へ、なごり雪を見る旅をしてきた…

楽しみにしていた弘前城の桜も見ることのできない春であった。

でも、これもまたいいもんだ〜!


 

そして私はずっとあのお風呂のことを思い出していた。

朝シャンしないと死ぬ人や、鳥目の人には向かない。
お手伝いさんがお食事のお給仕してくれる育ちの人や、ばあやがお布団を敷いてくれるお宅の人もダメであろう。

私はいつかまた行こう。
 

 

宿で貰ったキーホルダー。

こういうものは貰いたいと思ったことがなかったんだけど…

これはなぜか、貰ってきたかった…