箱根  強羅環翠楼

10月29日(日) 3人泊 @21150円

http://www.gourakansuirou.co.jp/

 

酒豪のお姉さまに「温泉プロデュース、そろそろかしら?」と言われる以前に、
私は千石原のススキが見たくなっていた。

二十数年ぶりか… あのススキの中を歩いてみたかった…

そして強羅環翠楼にも、以前から泊まってみたかった。
村杉の環翠楼に泊まった後だし、「環翠楼」つながり…
それもいいかな〜
箱根は、どこに行くにも移動は便利だし。

秋の土日はすごい人出だから、土日を避け、月曜に千石原に行こう!
まちこは「ススキの千石原… 惹かれます」
ということで決定!
 

 

小田急の特急の最前列と最後尾の車両は展望車で、予約さえすれば同一料金で乗れる。

1週間前にネットで調べたら最後尾に席がとれ、大きな窓から景色を楽しめた。

 

強羅駅から下り坂、2〜3分で宿に着く。

 

打ち水され、すがすがしい玄関。


 

たたきも水で洗われ、女将さん、2人の仲居さんが三つ指をついて迎えてくださる。
古いけれど静かで、なんとも優雅な気分に満ちる。
 

 

すぐにフロント。

 

畳敷きの廊下が続く。

 

小さな中庭。フロント方向。

 

創業当時のままの館内。

光が反射する廊下。

この宿の象徴のような磨きぬかれた洗面器。 蛇口からはお湯は出ない。

 

 

 

部屋の入り口。仲居さんに案内される。部屋食の支度など、宿を出るまで同じ人が付く。

鍵はない。内側はねじ式の鍵がかけられる。

 

部屋の流し。冷蔵庫。配膳のための小テーブル。茶器など。

 

流しには銅(あか)が張ってある。

 

 

 

 

   トイレはシャワートイレになっている。


 

ほんの少し色づいてきた木々。

仲居さんが「今年は紅葉が遅れていて。この時期だともうちょっと紅くなっているはずなんですけど。
シーズンになるとほんとに見事なんですよ」

温暖化の影響か…

10月の終わりにしては今日もかなり温かい。
 


 

そういえば、衣替えなどしなくなった…

その年初めて半袖を着たとき、二の腕に感じる爽やかな風。

ひんやりとする気配に、その年初めて長袖のセーターを頭からかぶると、
そのふんわりとした空気感…匂い… その感触… ああ、冬が来た…
 

 

そんな新鮮な季節感を感じることはもうなく、
真夏には膝掛けとカーディガン、足にはソックス、レッグウォー
マー。
真冬のダウンのコートの下は、キャミソールに半袖ティーシャツ。

 

一年中ありとあらゆる衣類のお出ましである。

 

そのうち社会科の教科書には
「地球温暖化の始まった21世紀初頭までは、日本には四季があり…」と書かれるのであろうか…

人類が滅亡していなければ…



本館の中からも行けるが、庭を通って露天に行ける。


 

源泉を持っている宿で、露天の背後に、温泉を汲み上げる櫓がある。
お湯は無色透明。無臭。
さらっと柔らかい。貸切状態。
 


 

お風呂付きの部屋が多いので、その後露天では人が入ってきたが、内湯のほうは誰も入ってこなかった。
 

3人でまったり。

 

 

 

散歩。

山の連なりがとても近くに見え、箱根らしい夕暮れの風景。

 

 

   お食事。前菜。

 

 

斬新さや冒険はない。
歳月で積み重ねてきた献立を、手抜きせずしっかりと出す。
磨きぬかれた銅のように。

続けることは難しい。

 

ひたすら頑なまでに磨きつづけること…
建物も料理も…

この宿の身上だろう。

 

 

 

 

 

 

 

お盆の上に、ご飯、赤だし、焼き物、香の物が置かれた。

おいしいお食事の、きりっとした締めくくりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜半、いっとき激しい雨が降った。
雨に洗われて、紅葉がほんの少し
進んだか…

今日もいい天気で、温かい。

 

 

 

 

 

朝は違う内湯に。

 

 

 

 

 

 

3人ともいたく満足で、宿をあとにした。
宿の料金はやや高いが、東京から箱根までの交通費はとても安いので、総じていえば大変リーズナブルな旅行である。

強羅駅からバスに乗る。

 

バスの窓から。

 

箱根 湿生花園。

 

 

 

 

ススキとは、1年の四分の三は話題にもならず、品種改良や盆栽にいそしむ輩もいないようだし、
どちらかといえば雑草の部類であって、ススキ=秋 この記号にのみ価値があるという、考えてみればおかしな植物である。

 


 

毒にも薬にもならないこの秋の記号が、群生、ということでますます秋を際立たせ、
1本だけだと取り立てて言うほどのことはないものが、一面のススキの原を歩くと、
なにがし「来てよかったわね〜」などとため息まじりにつぶやいたりするから不思議で
ある。
 

 

 

 

人生の秋を迎えた私たちは、
この長く長く続くススキの原の
一本道をゆっくりと歩いた。


 

つらかったことも、涙したことも、喜びも…
それぞれのドラマがありここに至り、きっとまだしばらくは歩んでいくのであろう。
 


 

できれば実りある秋であらんことを、と…
私は思った。

 

そしてまたいつかこんなふうに、おだやかな秋の情景をともに
楽しみたいものである。