那須 老松温泉 喜楽旅館
  HPなし  TEL 0287-76-2235

2004年11月12日 1人泊 @7500円(税込み)&チェックアウト12時まで延長1000円
 

電話で「金曜に1人で泊まれますか」って聞いたら、
おじさんの声で「泊まれますよ、どちらから?」
「東京から」
「… あの、うちね、旅館っていっても民宿みたいなもんでね… きれいじゃないですよ、風呂小さいし…」
「(知ってる!)だいじょうぶです、分かってます」
「露天ないですよ」
「(知ってる!)ええ、いいんです。白い、いいお湯に入りたいから」
「白ければいいお湯ってわけでもないよ〜。どこかお悪いんですか?」

しばしやり取りの末、やっと分かってもらえたようで…

「はいはい。では気をつけておいでください」
「あっ… 私の電話番号は…」
「はっはっは〜 あなたなら確実に来るでしょ。ありがとうございます。お気をつけてお越しください」

好きだな〜 こういうの。

 

 

鼻風邪が治らず、駅前で配っている<武富士>のポケットティシュで鼻をかんでいたら、鼻が赤くなってしまった。
<クリネックス・アロエローション入り>を大量に買い込んで鼻をかみながら新幹線に。
やっぱり高いのは違うわ!
鼻、赤くならない。

どんよりとした那須塩原駅から那須湯本行きのバスに。

小雨がぱらついてきた! 
傘持ってないよ〜 
ええい!晴れろ〜!!

 

バスの窓から広野地の郵便局前の塔を見上げたら… 

もしかして青空?!

 

晴れたわ!! 

      人徳?!

 

教えられたとおり国道から曲がって裏の路地を歩いていくと、人のうちの庭に入ってしまう… 

不安になって、少々遠回りではあるが、国道沿いの看板の出ているほうから坂を登っていく。

 

道の両脇の建物がそうらしい。

若旦那、というよりお兄さんが表で心配そうに待っていてくれて、背後から来たのでびっくりさせてしまった。

「あー!! そっちから来たの! 病人が道に迷ったのかと… 心配したよ〜。どこか悪いの?」

「いーえ。どこも悪くないの。風邪ひいてるけど」

 

左の建物を指差して「そこで靴ぬいで、階段降りて、通路の一番先の、一番端の部屋です。いまお茶持って行きます」

 

粗末な古い建物だが、廊下はきれいに掃除されていて、日帰りのための休憩室にはコタツがあり、お茶が用意されていた。

 

椅子もあって、足が不自由な人はありがたいだろう。

 

窓の下は湯川という小さな川が音高く流れる。

左の一番端の部屋が、本日の私の部屋らしい。

 

千円札も使える自販機。

ソフトドリンク120円、アサヒスーパードライ250円。

ちゃんと機能していた。

 

お風呂の入り口の前を通り…

 

トイレの前を通り、突き当たりまで進む。

廊下の明かりは夜中もケチることなく、全部ついていた。

 

トイレはウオームレット。

ほんのりあったか。

きちんとお掃除されている。

 

本日のお部屋「光の間」6畳、おこた、次の間付き。

おこたはスイッチが入っていて温めてある。

女将さん、というより、初老のおばさんがお茶とポットを持ってきてくださる。

 

「いらっしゃいませ。ご病気ですか?」
「いえ… どこも悪くなくて…」
「あ。そうですか〜。あの、お布団はあそこに」
「はいはい、自分で敷きます」

にっこりして去っていった。

 

ガラス戸の外の景色。

 

クリーニングされたシーツと枕カバー、浴衣があった。

小さいテレビ。

暖房機のほかに石油ファンヒーター。

古びてはいるがこざっぱりした部屋である。

 

鍵はまあ… 飾りね。

 

お風呂よ〜 

横移動10秒。

何十段も階段を下がらなくていいの。



うっふ〜〜  入ったときは人がいた。 「こんにちは〜」 「こんにちは〜」

 

 

上のほうの有名な共同浴場は、時として排他的入浴圏域の感があるけど、ここは日帰りの客がほどよく入れ替わり立ち代わり、という状態で、よそものにも温かい

 

が、しかし…  石鹸がない… 

カランは2本あるが、1本から30度の源泉が出るのみ。

当たり前といえば当たり前である。

ふだんの私なら気にも留めないのだが…

風邪で3日間お風呂に入っていない私は… 

立ち往生してしまった。

部屋へ戻って石鹸を取ってきて体を洗う?
ここに石鹸の泡が流れていくのは… 

このお湯に対してなんとも失礼ではないか…

意を決して、掛け湯しながら、手で体を洗うしかない。
何杯もお湯を掛けながら体を洗っていてなかなかお湯に入らない私を見て、湯船に浸かっているおばさんは??なまなざし。

でも、そうやって丹念に体を洗っているうちに、これでいいのだ、と思えてきた。
これがいちばん自然なのだ。

源泉30度の硫黄泉である。そして珍しいことにアルカリ性。
ぬるめの湯船と、沸かした源泉を多めに入れた熱めの湯船。
 

1つはぬるめの湯船、もう1つは熱めという原則のもとに、源泉のコックと、沸かした源泉のコックをひねって、各自で好きな温度に調整している。
で、ちょうどよくなると、止めてしまう。
宿も、客も、大事にしてるんだな〜 このお湯。

だけど、1人のときは、掛け流しにさせていただいた…   しあわせ〜な、足
 

 

飲んでみると、酸味、渋み、ほろ苦さ、そしてかすかな甘さが硫黄の香りとともに広がる、なんとも奥深い味わいであった。

お湯に浸かっていると、じっくりと汗が出てくる。

上がると硫黄泉特有の、さあっと汗が引いていく感じが気持ちよい。

肌はするするとして火照ることもなく、またすぐにお風呂に入れる。

 

ちょっと歩いてこようかな〜 

外に出ると向こうの家からお兄さん「何か必要なもの、ありますか〜」と声をかけてくれた。

「ちょっと散歩など」

「散歩? 見るもの何もないぞ〜」

確かに。

おまけに秋の日はつるべ落とし。突然真っ暗になって<松川屋>の明かりしか見えない。

 

帰る。

 

おこたでテレビなど観ていたら6時半くらいに「お食事です」と言いながら、初老の、といっても丸く若々しいおじさんが足付きのお膳を持ってきてくれた。

宿帳も持っていてコタツの上で記帳。

「どこかお悪いんですか?」
「いーえ。いたって健康で」
「お風呂入りました?」
思わずにっこりして「い〜いお湯でした!」

おじさんもにっこりして、去る。

 

今夜の宿泊は私以外におばあちゃんが2人だそうである。

おこたから一歩も出ずに晩御飯。

並べてみると、串カツの下にお刺身がいた!

お味噌汁温かく、串カツ、トンカツなので串の存在意味不明だけど、ほんのり温かく、普通にとてもおいしく、大盛りのご飯以外完食!

 

布団は古いが、カバーは清潔。

冷えてきたのでファンヒーターをつける。ぬくぬく〜

 

夜中の12時過ぎのお風呂は、きれいにお掃除されて、脱衣処も湯気抜きのためにガラス戸を開けていた。

お湯はまだ満ちておらず、湯船に入ると、新鮮なお湯が少しずつ体の上にあがっていく。

 

かすかな硫黄のにおいの満ちるお風呂で、源泉のしたたりに足を伸ばすと…

ひんやりしたお湯の流れが、足首から膝、太ももを伝って胸に流れ、わき腹を通って首筋に走っていく…

緊張感を縦糸に、解放感を横糸に織られる、1人きりの貴重な時間。

そしてこのお湯は… 

まるでドラッグ… 

やみつきになりそう…

 

朝、おばさんが「おはようございます」と言ってポットを変えに来てくれた。

布団の中から「ど〜も〜」と返事してまた寝てしまった。

しばらくして目が覚めたので、熟女・鄙び系必携三種の神器を取り出して、コーヒーを淹れる。

かろうじて… 
   セルフポートレート。

 

おめざのコーヒー。

  おいしい。



その後横移動して…ちゃぽん。
光の加減なのだろう、窓に近いほうの湯船は、緑色がかっている。

 

 

誰もいないのでしみじみと掛け流して幸せに浸かる。

 お風呂から出ると朝ごはんがおこたの上に載っていた。
 昨夜あんなに食べたので、入らず。
 温かいお味噌汁と鮭、ご飯少々。
 お握り1個握ってもらえばよかった。

 


食べたらまた眠くなって横になる。

硫黄泉に入ると、冴え冴えとしていつも眠れないのに、なんだかとてもよく寝られる。

「おはようございます」というおじさんの声! 
寝こみを襲われてあわてるが(たぶん10時だったのだ)布団に起き上がって財布などゴソゴソと。
「7500円でございます」
「12時まで延長したいのですが」
「それでは…延長1000円ということで、8500円で」交渉成立。
しばし、お湯の話など。
パジャマ姿だけどそこは、まあ。

で、また寝てしまった。

 

 

キラキラした日の光が眩しくて目が覚めた。

えっ!12時10分?!
携帯のアラームかけたはずなのに!!
10分で布団を上げ身支度して、表にすっ飛んでいく。「すみません!寝坊しちゃって」

前の家からお兄さん「ありがとうございました。またお越しください」

市井の人の爽やかな笑顔であった。

 

看板に偽りなし。

ガラス戸に映るわが姿、寝起きで髪はパンク、顔はすっぴん… 

で〜も〜お肌すべすべだから、許容!

 

最後のモミジが青空に映える。

帰りのバスの窓から見る那須の山々は、そろそろ冬支度であった。

 

黒磯駅の近くで、もと銀行の建物を喫茶店にしていた。

 

なかなかいい建物なので〜

 

お茶してみました。

 

日帰りで来られる人はいいよね〜

近ければ、毎日入りたい、あのお風呂。

でも、新幹線使っても“諭吉っつぁん”2枚でおつりがくるから〜

また来よう。

あ… そういえば昨日から鼻水止まってる!

 

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